贈与税・譲渡所得・財産評価

相続税・贈与税・譲渡所得などの資産税、土地や非上場株式などの財産評価に関するページです。一生に一度は必ず納付するという税金ではありませんが、複雑な事案もあり、取り扱う金額が大きいため納税額に連動することから、正確な判断が求められるとても重要な税金となります。
※このページにおいて、相続法と取り扱いの異なる項目または他の税法と関連のある項目をで表示しております。

【 相続税のしくみ 】
▼相続税の納税義務者と申告期限
▼遺産総額を求める -相続または遺贈により取得した財産の価額-
▼遺産総額を求める -みなし相続財産の価額-
▼遺産総額を求める -相続時精算課税適用財産の価額-
▼遺産総額から債務と葬式費用を控除して遺産額を求める
▼相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算して正味の遺産額を求める
▼正味の遺産額と遺産に係る基礎控除額を比較して申告判定をする
▼相続税の総額の計算と各人の納付税額の計算
▼相続税の税額控除
▼小規模宅地等の減額特例(その1
▼小規模宅地等の減額特例(その2
▼相続税の課税価格の計算 -特殊な事案-

【 贈与税のしくみ 】
▼贈与税の課税方法の選択
▼暦年課税制度 -基礎控除110万円-
▼相続時精算課税制度(1)-特別控除2,500万円-
▼相続時精算課税制度(2)-相続税申告との関係-
▼贈与税の課税財産
▼贈与税の配偶者控除 -妻に居住用不動産等を贈与した場合-
▼住宅取得等資金の贈与税の非課税(1)-暦年課税-
▼住宅取得等資金の贈与税の非課税(2)-相続時精算課税選択の特例-
▼贈与税の課税関係(みなし贈与財産を含む)

【 譲渡所得のしくみ 】

【 財産評価のしくみ 】

-相続税のしくみ-

【1】相続税申告までのながれ
相続税の申告のためには以下の準備が必要となります。なお、相続に関する民法の規定は相続についてをご確認下さい
□ 相続人の確認(誰が)
・・・被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せて、誰が相続人であるかを確認します
□ 遺言書の有無の確認(誰が、何を)
・・・遺言書の内容に従って相続税の申告書を作成するのか、または改めて分割協議をするのか、遺言書の有無は相続税の申告に大きく影響します
□ 遺産と債務の確認(何を)
・・・遺産と債務、葬式費用および相続税法特有のみなし相続財産を調べて、まず相続財産全体を把握することが必要です
□ 遺産の評価(何を)
・・・遺産は相続開始時の価額で評価することになりますが、評価方法は相続税法と財産評価基本通達により一般に公表されています。評価方法を間違えば必要のない税金を納めることになりますので、相続税を計算するには相続財産をどのように評価するかが重要となります
□ 遺産の分割(誰が、何を、どれぐらい)
・・・相続人全員で遺産の分割について協議をし、分割協議が成立した際は遺産分割協議書を作成します。また、その協議結果に基づいて相続税の申告をします
□ 申告と納税
・・・相続税の申告は10ヶ月以内に行うことになっています。また、相続税の納税は金銭で納めるのが原則です

【2】相続税の申告方法と添付書類
□ 相続税とは、①相続、②遺贈(③死因贈与を含む)、④生前に相続時精算課税に係る贈与を原因として財産を取得した場合に、その取得した財産の価格を課税標準として、個人に課税される税金をいいます
□ 相続税申告書の提出先は相続人等の住所地ではなく、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署となります
□ 相続税の申告書は、その相続事案に係る相続人等が連名で(共同で)作成して提出することができるという規定になっていますが、連名で提出するのが通常です
□ 相続税の申告書(一般の場合)には、以下の書類の添付が必要です
(1)戸籍謄本
(2)遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
(3)相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
(4)相続時精算課税適用者がいる場合には被相続人および相続時精算課税適用者の戸籍の附票の写し
□ 被相続人の所得税の準確定申告書については、こちらを確認して下さい

【3】相続税の納税義務者
□ 相続税は個人に課税される税金です。法人が遺贈等により財産を取得した場合は、法人税が課税されるため相続税の納税義務者となりません
□ 人格のない社団等(PTAや同窓会、町内会など)および、持分の定めのない法人(一般財団法人や一般社団法人、学校法人、社会福祉法人など)のうち一定の要件を満たす法人は、個人とみなされて相続税の納税義務者となります
□ 納税義務者である個人は、相続開始時に国内に住所があるかどうかによって3つに区分され、その区分に応じ相続税の課税される財産の範囲が異なります
□ 納税義務者の区分に応じ相続税の課税される財産の範囲が異なることから、被相続人が残した財産の額=課税される財産の額とならないことに注意して下さい
□ 相続税法では、『国内』ではなく『法施行地』と表現しています。これは北方領土が相続税法の施行対象地ではないためこのような表現となっています
□ 取得した財産がどこにあるのかの所在の判定は、こちら(国税庁HP:相続人が外国に居住しているとき)を参考にして下さい

※相続税のしくみ(2)-相続税の納税義務者-で、各人の納税義務者の区分を確認して下さい
相続税のしくみ(2)ー相続税の納税義務者ー

【4】相続税申告書の提出期限(申告期限)

□ 相続税の申告書の提出期限は、『相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内(申告期限の日が土曜日、日曜日、祝日などの休日にあたるときはこれらの日の翌日)』とされています。次の例1と例2であれば、相続の開始があったことを知った日 → 申告期限となります
例1:平成27年6月10日(水) → 平成28年4月11日(月)が期限
例2:平成27年11月15日(日) → 平成28年9月15日(木)が期限
□ 相続の開始があったことを知った日とは、通常では被相続人の死亡の日をいいますが、被相続人の死亡の事実を数ヶ月後に知った場合や、以下の(1)~(4)などの場合は、単に被相続人の死亡の事実を知ったことだけではなく、それぞれの相続事案に応じて『自己のために相続の開始があったこと(=自分はこの相続事案の当事者であるということ)』を知った日とされます
(1)失踪宣告がある事案・・・相続人または受遺者が失踪宣告のあったことを知った日
(2)認知や相続人の廃除に関する裁判がある事案・・・裁判の確定を知った日
(3)遺贈がある事案・・・自己のためにその遺贈があったことを知った日
(4)胎児がいる事案・・・法定代理人がその胎児の生まれたことを知った日
□ 被相続人の死亡の日と自己のために相続の開始があったことを知った日が一致しない相続事案についても、相続税の課税価格に算入する価額は、相続の開始があったことを知った日の価額ではなく、相続開始の時の価額によります

相続または遺贈により取得した財産と相続税の非課税財産

【1】相続税がかかる財産(=相続または遺贈により取得した財産)
□ 相続または遺贈により取得した財産で、相続税がかかる財産は次の(1)~(7)に大別されます
□ 民法上の相続財産に該当するかどうか、または遺産分割の対象になる財産か否かの区別は、相続についてQ11またはQ12をご確認下さい
□ 相続税がかかる財産の評価方法については、こちらをご確認下さい
<相続税がかかる財産の例示>
(1)土地(土地の上に存する権利を含む)

□ 田・畑(自用地、貸付地、賃借権、耕作権、永小作権など)
□ 居住用または事業用などの自ら利用している宅地
□ 貸付けている土地、アパートや貸家などの敷地、借地
□ 普通山林、保安林
□ 原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地、駐車場用地
(2)建物
□ 自宅、アパート、貸家、別荘
□ 駐車場、広告塔
(3)事業(農業)用財産
□ 機械、器具、農機具、自動車、船舶等の減価償却資産
□ 牛馬等、果樹等の減価償却資産
□ 商品、製品、半製品、原材料、農産物等
□ 売掛金、電話加入権、受取手形
(4)有価証券
□ 取引相場のない株式または出資
□ 上場株式、気配相場のある株式
□ 国債、地方債、社債、外国公債
□ 証券投資信託、貸付信託の受益証券
(5)現金、預貯金等
□ 現金、小切手
□ 普通預金、当座預金、定期預金、郵便貯金、定期積金、金銭信託
(6)家庭用財産
□ 家具
□ 什器
(7)その他の財産
□ 生命保険金等、退職手当金等、その他のみなし相続財産
□ 立木
□ 貴金属、宝石、競走馬、ゴルフ会員権、ヨット、書画骨とう、スポーツ用品
□ 自家用自動車、電話加入権
□ 特許権、著作権、貸付金、未収家賃

【2】相続税がかからない財産(=相続税の非課税財産)
□ 相続税法では、相続または遺贈により取得した財産の全てを課税の対象とする原則をとっていますが、その財産の性質、公益性、社会政策的見地、国民感情などの理由から一定の財産を課税の対象としないこととしています
□ 相続または遺贈により取得した財産のうち以下の(1)~(9)を『非課税財産』といい、これらの財産については相続税が課税されません(=相続税の課税価格に算入されません)
<相続税がかからない財産の例示>
(1)皇室経済法の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物

(2)墓所、霊びょうおよび祭具並びにこれらに準ずるもの

・・・墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物をいい、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税の課税対象です

(3)一定の公益事業を行う者が取得した公益事業用財産
・・・宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で、公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

(4)心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金の受給権

(5)相続人が取得した生命保険金等のうち一定の金額

・・・生命保険金等の非課税限度額

(6)相続人が取得した退職手当金等のうち一定の金額
・・・退職手当金等の非課税限度額

(7)相続や遺贈により取得した財産で、相続人が相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附をした財産の価額
・・・法人を設立するための財産の提供や、寄附をすることでその者または親族等の相続税の負担が不当に減少する結果と認められる場合は、課税の対象とされます

(8)相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

(9)香典
・・・被相続人の財産に属さないため

みなし相続財産

民法上は相続または遺贈により取得した財産とされませんが、実質的に相続または遺贈により取得した財産と同様の経済効果を持つと考えられることから、次の【1】~【7】は『みなし相続財産』といわれ、相続税の課税対象となります。
これらの利益を受けた者が相続人であれば相続により、相続人以外であれば遺贈により、それぞれ取得したものとみなされます

【1】生命保険金等
・・・被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していた場合は、取得した保険金額のうち、被相続人の死亡時までに払い込まれた保険料の総額に対して、被相続人が負担した保険料の額に対応する部分は相続税の課税対象となります

生命保険金等の課税関係


□ 【参考】保険金等を受け取ったときの課税関係

【2】退職手当金等
(1)被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものを相続人等が取得した場合は、金銭や物または権利であること、および一時金または年金形式であることを問わず、退職手当金等として相続税の課税対象となります
(2)弔慰金等(=弔慰金や花輪代・葬祭料等)については、通常相続税の課税対象となりません。ただし、被相続人の雇用主などから受け取った弔慰金等のうち実質退職手当金等に該当するものは、相続税の課税対象となります。
(3)弔慰金等の課税と非課税の判断基準として、次の被相続人の死亡原因の区分に応じ、それぞれに掲げる金額は課税の対象外とし、超える部分の金額は退職手当金等(課税の対象)として取り扱うこととしています
①被相続人の死亡が業務上の死亡の場合・・・普通給与の3年(36ヶ月)分
②被相続人の死亡が業務上の死亡でない場合・・・普通給与の半年(6ヶ月)分
※普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額をいいます
□ 退職手当金等の非課税限度額については、【1】生命保険金等を参照して下さい
□ 【参考】死亡日後に支給された退職手当等の課税・非課税判定

【3】生命保険契約に関する権利
・・・次のいずれにも該当する場合は、契約者は、その相続の開始により、その契約に関する権利のうち、被相続人が負担した保険料の額に対応する部分を、相続または遺贈により取得したものとみなされます
(1)相続開始の時においてまだ保険事故が発生していない生命保険契約で
(2)被相続人が保険料の全部または一部を負担しており
(3)被相続人以外の者が契約者である場合
※掛捨て保険契約は対象となりません。また、被相続人=契約者のときのその契約に関する権利は、みなし相続財産ではなく本来の相続財産として課税の対象となります

【4】定期金に関する権利
・・・次のいずれにも該当する場合は、契約者は、その相続の開始により、その契約に関する権利のうち、被相続人が負担した掛金の額に対応する部分を、相続または遺贈により取得したものとみなされます
(1)相続開始の時においてまだ定期金給付事由が発生していない定期金給付契約で
(2)被相続人が掛金の全部または一部を負担しており
(3)被相続人以外の者が契約者である場合
※上記(1)について、契約内容が生命保険契約のときは、【3】生命保険契約に関する権利としてみなし相続財産となります

【5】保証期間付定期金に関する権利
・・・次のいずれにも該当する場合は、その継続定期金(一時金)の受取人は、その契約に関する権利のうち、被相続人が負担した掛金の額に対応する部分を、相続または遺贈により取得したものとみなされます
(1)定期金受取人の生存中定期金を給付し、かつ、一定期間内にその受取人が死亡したときはその死亡後も引き続き遺族等に対し定期金等を給付する定期金給付契約で
(2)被相続人が掛金の全部または一部を負担している場合

【6】契約に基づかない定期金に関する権利
・・・退職年金契約に基づき継続受取人に支払われる退職年金の受給権を取得した者は、その受給権を、相続または遺贈により取得したものとみなされます。なお、厚生年金保険法や国家公務員共済組合法などの規定による遺族年金は、相続税は非課税とされています。
※退職手当金等が定期金で支給された場合は、【2】退職手当金等としてみなし相続財産となります

【7】その他のみなし相続財産
・・・次の(1)~(4)のそれぞれに掲げる金額は、みなし相続財産とされ相続税の課税対象となります
(1)低額譲受
著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合・・・その対価と時価との差額に相当する金額
(2)債務免除等(債務免除、債務の引き受け、第三者による債務の弁済)
対価を支払わないで、または著しく低い対価で債務を免除等された場合・・・その免除等された債務の金額に相当する金額
(3)その他の利益の享受
対価を支払わないで、または著しく低い価額の対価で経済的利益を受けた(新株の発行、財産分与、財産の名義変更など)場合・・・その時の利益の金額に相当する金額
(4)信託に関する権利
委託者や受益者等の死亡に基因して、適正な対価を負担せずに信託の受益者等となった場合や信託に関する利益を受けた場合は、遺贈により財産の取得があったものとされます

債務控除(債務と葬式費用)

【1】債務控除とは
□ 被相続人が残した債務や葬式費用で、相続人または包括受遺者が負担したものの額は、相続税の課税価格の計算上控除することができます(取得財産の価額-債務控除=相続税の課税価格)
□ 債務控除は、債務と葬式費用の2つに大別されます
□ 債務控除を受けることができる者は、相続人および包括受遺者とされています
□ 相続を放棄した者および相続権を失った者は相続人ではないため、原則、債務控除を受けることはできません。ただし、これらの者が現実に負担した葬式費用については、これらの者が遺贈により取得した財産の価額から債務控除が認められます
□ 制限納税義務者の債務控除については、その者が取得した財産のうち相続税が課税される財産によって担保される債務(取得した課税対象財産に関する債務)に限られます。なお、葬式費用は控除することができません
□ 債務と葬式費用の金額を差し引いた後が赤字(=マイナス)のときは、その相続人等の課税価格は『0』となります


【2】債務
・・・債務控除の対象とされる債務とは、次の要件を満たすものをいいます
(1)相続人または包括受遺者が承継した債務であること
(2)相続開始の際、現に存するものでること
(3)確実と認められるもの
<債務控除の対象となる債務の例示>
□ 買掛金、未払金、カード利用の場合の未払代金
□ 銀行借入金、カードローン
□ 治療や入院に係る未払いの医療費
□ 被相続人の死亡の際に債務の確定している公租公課(固定資産税、住民税、所得税など)
□ 被相続人に係るもので被相続人の死亡後、相続人および包括受遺者が納付し、または徴収されることになった所得税等
□ 保証債務は、原則控除できません。ただし、主たる債務者が弁済不能で求償しても返還の見込みがない場合は、弁済不能の部分に限り控除することができます
□ 連帯債務のうち負担すべき金額が明らかとなっている場合は、その負担金額
□ 連帯債務者が弁済不能で求償しても返還の見込みがない場合は、弁済不能の部分に限り控除することができます
<債務控除の対象とならない債務の例示>
□ 相続税の非課税財産(墓所、霊びょうおよび祭具ならびにこれらに準ずるもの、公益事業用財産など)の取得、維持または管理に要する費用
□ 遺言執行費用、相続税の申告に伴う税理士報酬

【3】葬式費用
・・・債務控除の対象とされる葬式費用とは、次の(1)~(4)の要件を満たすものをいいます
(1)葬式もしくは葬送に際し、またはこれらの前において、埋葬、火葬、納骨または遺がいもしくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあってはその両者の費用)
(2)葬式に際し施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用
(3)葬式の前後に生じた出費(お通夜など)で通常葬式に伴うものと認められるもの
(4)死体の捜索または死体もしくは遺骨の運搬に要した費用
<債務控除の対象となる葬式費用の例示>
□ お通夜、告別式にかかった費用、葬儀に関連する料理代
□ 生花、盛籠等で喪主・施主負担分は葬式費用になります
□ 火葬料、埋葬料、納骨料
□ 遺体の搬送費用
□ 葬儀場までの交通費、お布施、読経料、戒名料、お手伝いさんへのお礼、運転手さん等への心付け
□ その他通常葬儀に伴う費用
<債務控除の対象とならない葬式費用の例示>
□ 位牌、仏壇、墓石の購入費用および墓地借上げ料
□ 初七日、四十九日等の法会費用
□ 香典返し(香典(相続税の非課税財産)をいただいたことに対するお返しのため)
□ 医学上または裁判上の特別の処置に要した費用
□ その他通常葬儀に伴わない費用

生前贈与があった場合に相続税の課税価格に加算するもの

◆>Ⅰ.相続税の課税価格の調整◆>

【1】相続時精算課税制度の適用を受けた財産
□ 相続時精算課税制度については、こちらを確認して下さい
□ 生前に被相続人から相続時精算課税の適用を受ける財産を贈与により取得した場合には、その贈与財産の価額は、相続税の課税価格の計算上、次の(1)(2)のとおりに取り扱われます
(1)相続または遺贈により財産を取得した者
・・・被相続人である特定贈与者から相続時精算課税の適用を受ける贈与により取得した財産の価額を、相続税の課税価格に加算します(=相続等により取得した財産+贈与財産の価額に相続税が課税されます)
(2)相続または遺贈により財産を取得しなかった者、相続放棄をした者
・・・被相続人である特定贈与者から相続時精算課税の適用を受ける贈与により取得した財産は、相続または遺贈により取得したものとみなして、相続税の課税価格に算入します(=相続または遺贈により財産を取得していないため贈与財産の価額にのみ相続税が課税されます)
□ 相続税の課税価格に加算または算入される贈与財産の価額は、相続時の価額で再評価するのではなく、贈与時の価額となります

【2】相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産
□ 相続または遺贈により財産を取得した者が、その相続開始前3年以内にその相続に係る被相続人から財産(非課税財産を除く)の贈与を受けている場合には、原則として、その財産の贈与時の価額を相続税の課税価格に加算します
□ 相続開始前3年以内とは、その相続の開始の日から遡って3年目の応当日からその相続の開始の日までの期間であり、例えば、その相続の開始の日が平成28年8月19日の場合は、平成25年8月19日から平成28年8月19日までの期間をいいます
□ 相続または遺贈により財産を取得した者、またはみなし相続財産を取得した者のみ加算の対象となります。相続または遺贈により財産を取得していない者は加算する必要はありません
□ 3年以内であれば贈与税が課税されていたかどうかに関係なく加算します。そのため基礎控除額110万円以下の少額財産の贈与や、死亡した年に贈与された財産の価額も加算することになります
□ 相続税の課税価格に加算される贈与財産の価額とは、相続時の価額で再評価するのではなく、贈与時の価額となります
□ 贈与税の配偶者控除の対象となった受贈財産のうち、その配偶者控除に相当する部分(特定贈与財産といい最高2,000万円)、および直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度の適用により贈与税の課税価格に算入されなかった金額は、相続税の課税価格に加算する必要はありません
□ 課税価格に加算した贈与財産の価額からは、債務控除することはできません。例えば、以下の事案では③債務のうち300万円は債務控除できないことになります
①相続または遺贈により取得した財産の価額1,200万円
②3年以内贈与財産の価額1,000万円
③債務1,500万円
④①+②-③(①を限度)=相続税の課税価格1,000万円


◆>Ⅱ.贈与税額控除◆>

【1】相続時精算課税分の贈与税額控除
□ 相続時精算課税適用者に相続時精算課税適用財産について課せられた贈与税がある場合には、その者の各種の税額控除後の相続税額から、その贈与税額(贈与税の外国税額控除前)に相当する金額を控除することができます
(1)各種の税額控除後の相続税額-相続時精算課税分の贈与税額
・・・納付すべき相続税額となります
(2)各種の税額控除後の相続税額<相続時精算課税分の贈与税額
・・・差額が還付される税額となります
□ その者の各種の税額控除後の相続税額が赤字となったときは、これをゼロとして還付税額を計算します。また、税額の還付を受けるためには相続税の申告書を提出しなければなりませんが、この場合の還付税額は、贈与税の外国税額控除適用後の金額を限度とします

【2】暦年課税分の贈与税額控除
□ 暦年課税分の贈与税額控除は、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を相続財産の価額に加算することで、同じ贈与財産に対して相続税と贈与税の両方が課税されてしまうことを調整するための制度となります
□ 相続または遺贈により財産を取得した者が、その相続開始前3年以内にその相続に係る被相続人から財産の贈与を受けている場合において、その贈与につき贈与税が課されているときは、その者の算出税額からその贈与税額を控除することができます
□ 暦年課税分の贈与税額控除は、税額控除のうち最初に控除すべきものとなります。相続時精算課税分の贈与税額控除とは異なりますので区別して確認して下さい

贈与税額控除額の計算式


遺産に係る基礎控除額と申告判定

【1】相続税の申告が必要な場合(申告義務の判定)
(1)遺産に係る基礎控除額⑦の計算式
<平成26年12月31日までに開始した相続の場合>

=⑦5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
<平成27年1月1日以後に開始した相続の場合>
=⑦3,000万円+600万円×法定相続人の数

(2)正味の遺産額⑧の計算式
+①相続または遺贈により取得した財産の価額(④非課税財産の価額を除く)
+②みなし相続財産の価額(④非課税財産の価額を除く)
+③相続時精算課税適用財産の価額
-⑤債務・葬式費用
+⑥相続開始前3年以内の贈与財産
=⑧正味の遺産額(①+②-④+③-⑤+⑥)
□ 正味の遺産額⑧は、課税価格の合計額ともいいます
□ ①+②(ともに④を除く)+③を遺産総額といいます
□ ①+②(ともに④を除く)+③-⑤を遺産額といい、赤字のときはこれをゼロとします
□ ⑧-⑦を課税遺産総額といい、この金額に税率を適用して相続税の総額を計算します

※申告判定のイメージは、
『相続税のしくみ(1)-相続財産と申告判定-』で確認できます

申告判定

(3)申告義務の判定
・・・正味の遺産額⑧が、遺産に係る基礎控除額⑦を超えた場合は、相続税の申告が必要です。この場合の正味の遺産額は、小規模宅地等の減額を適用する前の金額をいいます。
A.正味の遺産額 > 遺産に係る基礎控除額 ・・・ 申告書の提出が必要
B.正味の遺産額 ≦ 遺産に係る基礎控除額 ・・・ 申告書の提出は不要
【申告判定例:相続人は配偶者と子2人の計3人、第1順位の事案の場合】
<平成26年12月31日までに開始した相続=基礎控除額は8,000万円>

A.正味の遺産額が8,000万円を超えていれば、申告書の提出が必要
B.正味の遺産額が8,000万円以下であれば、申告書の提出は不要
<平成27年1月1日以後に開始した相続=基礎控除額は4,800万円>
A.正味の遺産額が4,800万円を超えていれば、申告書の提出が必要
B.正味の遺産額が4,800万円以下であれば、申告書の提出は不要

・・・相続税の申告要否の簡易判定シート(国税庁HP:データを入力、保存できます)
・・・相続税の総額の試算はこちらで確認することができます

(4)申告義務の判定における注意点
・・・上記(1)~(3)の判定にあたっては、申告判定のイメージを分かり易くするため、被相続人が残した遺産の総額を使って説明していますが、本来の正味の遺産額(=課税価格の合計額)の計算においては、財産を取得した人毎に、取得した財産から債務・葬式費用を控除するなどして課税価格を計算し、その金額を合計のうえ判定する必要があります。ここで、通常であれば正味の遺産額と各人の課税価格の合計額は同額となるのですが、遺産分割によっては、取得した財産が債務・葬式費用より少ない場合(=債務と葬式費用を差し引いた後が赤字のとき)があり、この場合の課税価格は『0』となります。理論上はマイナスであっても、他の相続人の課税価格からは控除できない(=マイナスを通算できない)ことから、単に遺産の総額と遺産に係る基礎控除額を比較しただけでは、適正な申告義務の判定と異なることがありますのでご注意下さい

【2】申告義務と納税額ゼロの関係
・・・申告そのものが不要な事案と、申告書を提出することで納税額がゼロになる事案をしっかり区別しましょう
□ 多くの財産があっても同等の借金(債務)があれば、申告と納税は不要です
例)財産5億円、債務5億円のケース
□ 財産-債務が多額であっても基礎控除額以下であれば、申告と納税は不要です
例)財産-債務=1億円、基礎控除額が1.1億円のケース
□ 小規模宅地等の評価減により納税額がゼロになる場合でも、申告は必要です
例)財産3億円(評価減2億円後)、債務2億円、基礎控除額が1.1億円のケース
□ 配偶者の税額軽減により納税額がゼロになる場合でも、申告は必要です
例)財産-債務=1億円を全て配偶者が取得、基礎控除額が7千万円のケース

【3】法定相続人と法定相続人の数
遺産に係る基礎控除額を計算する場合の法定相続人とは、原則的には民法上の相続人をいいますが、相続の放棄があった場合にはその放棄がないものとした場合の相続人とされます。これは、相続税法特有の考え方であり、
(1)遺産に係る基礎控除額
(2)生命保険金等の非課税限度額
(3)退職手当金等の非課税限度額
(4)相続税の総額の計算
の4項目の計算については、法定相続人の数に含める被相続人の『養子の数』(=法定相続人の数にカウントできる養子の数)を次のとおり制限しています。
□ 被相続人に実子がいる場合・・・1人まで
例)実子2人+養子3人の事案の法定相続人の数=実子2人+養子1人の3人
□ 被相続人に実子がいない場合・・・2人まで
例)実子なし+養子3人の事案の法定相続人の数=実子0人+養子2人の2人
<注意点>
(1)次のいずれかに当てはまる者は実子として取り扱われます。そして養子の数の制限を受けることなく全て法定相続人の数にカウントされます
□ 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている者
□ 被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となっている者
□ 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた者で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった者
□ 被相続人の実子、養子または直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったためその子供などに代わって相続人となった直系卑属
(2)養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合は、その原因となる養子の数を含めることはできません

相続税額の計算と納付方法

◆>Ⅰ.相続税額の計算◆>

【1】相続税の総額の計算

※相続税のしくみ(3)-相続税の総額を計算
する-で相続税の計算方法を確認して下さい
【平成26年12月31日以前適用分】

相続税のしくみ(3)-相続税の総額を計算する-

※相続税のしくみ(3)-相続税の総額を計算
する-で相続税の計算方法を確認して下さい
【平成27年1月1日以後適用分】

相続税のしくみ(3)-相続税の総額を計算する-

以下の項目で、相続税の総額を試算することができます
□ 相続税の税率(国税庁HP)
□ 相続税・贈与税の総額試算コーナー(お役立ちコーナー/相続税・贈与税シミュレーション)

【2】各人の算出税額の計算(=相続税の総額のあん分計算)

□ 各人が実際に納める相続税額は、相続税の総額に各人ごとのあん分割合(=課税価格の合計額に占める各人の課税価格の割合)を乗じて計算します
□ あん分割合は、各人の課税価格÷課税価格の合計額で求めます。この割合に小数点以下2位未満の端数があるときは、各人の割合の合計値が1になるように、全員が(納得して)選択した方法により調整することができます

【3】相続税額の加算(=2割加算)
□ 相続または遺贈により財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族および配偶者のいずれでもない場合は、その者の相続税額【2】に、その相続税額の20%に相当する金額を加算する必要があります
□ 一親等の血族には、一親等の血族である子が被相続人の死亡以前に死亡しているため、その子に代わって相続人(代襲相続人)となった孫等は含まれます。ただし、その代襲相続人が相続を放棄した場合は、相続人の地位にないことから2割加算の対象となります。
□ 一親等の血族には、被相続人の直系卑属で当該被相続人の養子となっている者(=いわゆる孫養子等)は含まれません
□ 2割加算の対象者としては、内縁の妻、遺贈により財産を取得した第三者、代襲相続人でない孫、孫養子(第1順位)、兄弟姉妹(第3順位)、甥姪(第3順位)などが該当します

【4】各人の納付・還付税額の計算
□ 上記【2】で計算した各人の算出税額(【3】の2割加算適用後)から、各人の個別事情に応じ、次の6つの税額控除を控除することができます
(1)贈与税額控除
(2)配偶者の税額軽減
(3)未成年者控除
(4)障害者控除
(5)相次相続控除
(6)外国税額控除
□ (1)~(6)の順序に従って税額控除を控除した後の税額が、原則、各人が納付すべき相続税額となります
□ 相続時精算課税分の贈与税額控除については、こちらを確認して下さい


◆>Ⅱ.相続税額の納付方法◆>

【1】金銭一括納付
□ 相続税の納付は、原則、金銭で一括して納付しなければなりません
□ 相続税の納期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内となります(=相続税申告書の提出期限と同じ)
□ 納付が遅れた場合は、本税のほか延滞税(原則年7.3%)の納付が必要となります
□ 金銭で納付することが困難で一定の要件を満たす場合には、相続税の申告期限までに所定の手続きをすることで、次の2つの方法によることができます
(1)相続税を年賦により【金銭で分割納付】する方法・・・延納
(2)相続税を【金銭に代わって相続財産で納付】する方法・・・物納
□ 納付の方法は、相続人等全員で統一する必要はありません。各人の事情によりそれぞれが、金銭一括納付、延納、物納制度を活用することができます

【2】延納
□ 一定の要件を満たす場合には延納制度を利用できるため、金銭一括納付に代えて、相続税を年賦により分割で納付することが可能となります
□ 延納は、延納できる期間と利子税(延滞税ではありません)の割合が定められていますが、各人の相続税額の計算の基礎となった財産のうちに不動産等の価額がどの程度占めるかにより以下のとおり区分されます。なお、不動産等とは、不動産、不動産の上に存する権利、立木、事業用の減価償却資産、特定同族会社の株式および出資をいいます

延納の要件

□ 延納の許可を受けた相続税額について、その後に延納条件を履行することが困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分について、延納から物納への変更を行うことができます。これを特定物納(平成18年4月1日以後の相続開始により財産を取得した場合に適用)といいますが、特定物納に係る財産の収納価額は、特定物納申請書を提出した時の価額となります。また、財産を納付するまでの期間に応じ、当初の延納条件による利子税を納付する必要があります
□ 相続税の延納(国税庁HP)

【3】物納
□ 一定の要件を満たす場合には物納制度を利用できるため、金銭一括納付および延納に代えて、相続税を相続財産で納付することが可能となります。なお、延納と同じく利子税の負担が必要です
□ 物納に充てることができる財産は、相続税の課税価格の基礎となった相続財産のうち日本国内にあるものに限られており、かつ、その種類と順位が決まっています。なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した財産は物納することができません

物納の要件


□ 国が物納財産を収納する時の価額(=収納価額)は、原則、相続税の課税価格計算の基礎となった財産の価額(小規模宅地等の特例の適用を受けた財産は適用後の価額)となります
□ 相続税の物納(国税庁HP)

相続税の税額控除

【1】贈与税額控除
□ 暦年課税分の贈与税額控除については、こちらを確認して下さい

【2】配偶者の税額軽減
□ 配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が相続または遺贈により取得した正味の遺産額が、次の(1)と(2)の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度となります
(1)1億6千万円
(2)配偶者の法定相続分相当額
□ 相続または遺贈により財産を取得した者が被相続人の配偶者であるときは、その配偶者の算出税額から次の算式により計算した金額を控除することができます

配偶者の税額軽減額の計算式


□ 配偶者の税額軽減の適用を受けることができる配偶者は、被相続人と婚姻の届出をしている者に限られますので、内縁関係にある者は控除できません。なお、相続の放棄をしていても控除を受けることは可能です
□ 配偶者の税額軽減の適用は申告が要件とされているため、この控除適用後の税額がゼロとなる場合でも相続税の申告書を提出しなければなりません
□ 配偶者の税額軽減の適用を受けるには、相続税の申告書に以下の書類を添付する必要があります
(1)戸籍謄本
(2)遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
(3)相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
□ この特例は遺産が分割されていることが要件とされますが、遺産の全部または一部が未分割(申告期限内に分割できない)場合は、『申告期限後3年以内の分割見込書』を作成し、申告書に添付する必要があります

【3】未成年者控除
□ 相続または遺贈により財産を取得した者が未成年者であるときは、その未成年者の算出税額から、その者が20歳に達するまでの年数(※)に応じ、一定の金額を控除することができます
<計算式:平成26年12月31日までに開始した相続の場合>
未成年者控除額 = (20歳 - 相続開始時の年齢) × 6万円
<計算式:平成27年1月1日以後に開始した相続の場合>
未成年者控除額 = (20歳 - 相続開始時の年齢) × 10万円
※20歳に達するまでの年数が1年未満であり、または1年未満の端数がある場合は1年として計算します
□ 未成年者控除の適用を受けることができる者は、次の(1)~(3)に該当する者に限ります
(1)居住無制限納税義務者および非居住無制限納税義務者であること
(2)被相続人の法定相続人であること(相続の放棄をしていても構いません)
(3)満20歳未満の者であること
□ 未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が控除しきれない場合は、その控除しきれない部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から控除することができます。なお、扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます
□ 未成年者が過去に未成年者控除を受けているときは、控除額が調整されることになります
相続人のなかに未成年者がいる場合には、その未成年者について家庭裁判所で特別代理人の選任を受けなければならない場合があります。この場合、特別代理人がその未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。

【4】障害者控除
□ 相続または遺贈により財産を取得した者が障害者であるときは、その障害者の算出税額から、その者が85歳に達するまでの年数(※)に応じ、一定の金額を控除することができます
□ 控除額は相続開始時の障害の程度により、一般障害者控除額と特別障害者控除額に区別されます
<計算式:平成26年12月31日までに開始した相続の場合>
一般障害者控除額 = (85歳 - 相続開始時の年齢) × 6万円
特別障害者控除額 = (85歳 - 相続開始時の年齢) × 12万円
<計算式:平成27年1月1日以後に開始した相続の場合>
一般障害者控除額 = (85歳 - 相続開始時の年齢) × 10万円
特別障害者控除額 = (85歳 - 相続開始時の年齢) × 20万円
※85歳に達するまでの年数が1年未満であり、または1年未満の端数がある場合は1年として計算します
□ 障害者控除の適用を受けることができる者は、次の(1)~(3)に該当する者に限ります
(1)居住無制限納税義務者であること
(2)被相続人の法定相続人であること(相続の放棄をしていても構いません)
(3)満85歳未満の者であり、かつ障害者であること
□ 障害者本人の相続税額から控除しきれない障害者控除額、および過去に障害者控除を受けている場合の取り扱いは、未成年者控除と同様です

【5】相次相続控除
□ 10年以内に2回以上の相続があった場合には、相続税の過重な負担を避けるため、第1次相続において課税された相続税のうち一定の方法により計算した額を算出税額から控除することができます
□ 相次相続控除の適用を受けることができる要件は、次の(1)~(3)となります
(1)被相続人の相続人であること
(2)今回の相続開始前10年以内に開始した第1次相続により、被相続人が財産を取得していること
(3)(2)の取得した財産につき、被相続人に対し相続税が課税されたこと
□ 相続を放棄した者および相続権を失った者は、相続人ではないためこの控除を受けることはできません

相次相続控除額の計算式

【6】外国税額控除
□ 相続または遺贈により日本国外にある財産を取得した場合で、その財産の所在地国の法令により日本の相続税に相当する税が課せられたときは、日本とその財産の所在地国とでの二重課税を防止するため、一定の額を算出税額から控除することができます
□ 外国税額控除の適用を受けることができる要件は、次の(1)(2)となります
(1)相続または遺贈により取得した財産は、日本国外にあるものであること
(2)(1)の取得した財産につき、その財産の所在地国において相続税に相当する税が課せられたこと

外国税額控除額の計算式

小規模宅地等の減額特例(その1)

【1】小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例

(1)制度の概要

□ 個人が相続または遺贈により取得した宅地等のうち、その相続開始の直前において、被相続人等の事業の用または居住の用に供されていたもののうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額することができます。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます

□ 『相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額することができる』=『相続税の課税価格に算入すべき価額は、特例適用前の金額×(1-減額割合)』となります → 『80%減額=課税価格には20%算入』、または『50%減額=課税価格には50%算入』となります

□ 被相続人等とは、被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいます
□ この特例の適用により相続税の課税価格を減少させる効果がありますが、あくまで『減額の特例』規定であり、『土地の評価減』の規定ではないことに注意して下さい
(2)手続きの概要

□ 小規模宅地等の減額特例は、配偶者の税額軽減と同様に申告することが条件です。この特例を受けた後の相続税の課税価格が遺産に係る基礎控除額以下となる場合であっても、相続税の申告書は提出しなければなりません

□ 小規模宅地等の減額特例の適用を受けるためには、相続税の申告書にこの特例を受けようとする旨を記載するとともに、小規模宅地等に係る計算の明細書のほか次の書類を添付する必要があります。また、小規模宅地等の区分に応じ個別の書類が必要です
<添付書類>
①被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
②遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
③相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
□ この特例は、相続税の申告期限までに相続人等によってその宅地等が分割されていることが要件とされています。ただし、申告期限内に分割できない場合は、『申告期限後3年以内の分割見込書』を作成し、申告書に添付する必要があります

【2】宅地等とは
□ 宅地等とは、土地または土地の上に存する権利で、建物または構築物の敷地の用に供されているものをいいます。ただし、たな卸資産およびこれに準ずる資産は除かれます
□ その相続の開始の直前における宅地等の利用区分に応じ、被相続人等の事業の用または、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に大別されます
□ 相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や、相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません

【3】事業の用、居住の用、生計を一にするとは
(1)事業の用
□ 被相続人等の事業の用は、貸付事業用かそれ以外の事業用に大別されます。更に、①被相続人等の貸付事業以外の事業用宅地等、②一定の法人に貸し付けられたその法人の事業(貸付事業を除く)用宅地等、③一定の法人に貸し付けられたその法人の貸付事業用宅地等、④被相続人等の貸付事業用宅地等に区分されます
□ 貸付事業とは、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う準事業をいいます
□ 宅地等の上にある建物等を被相続人等の貸付事業以外の事業の用に供している場合は特定事業用宅地等の可能性があり、その建物等が被相続人等の貸付事業の用に供されている場合は貸付事業用宅地等の可能性があります
□ 被相続人等の事業の用に供されている建物等を移転のためまたは建替えのために取り壊しや譲渡をして、これらの建物等に代わるべき建物等(被相続人または被相続人の親族が所有する場合に限ります)の建築中に被相続人について相続が開始した場合、またはその建物等の取得後被相続人等が事業の用に供する前に被相続人について相続が開始した場合には、その相続開始の直前において、被相続人等のその建物等に係る事業の準備行為の状況からみて、その建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったと認められるときは、当該建物等の敷地の用に供されていた宅地等は、事業用宅地等に該当します。なお、被相続人の生計一親族、またはその建物等もしくはその建物等の敷地の用に供されていた宅地等を相続もしくは遺贈により取得した被相続人の親族が、その建物等を相続税の申告期限までに事業の用に供しているときは、相続開始の直前において被相続人等がその建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったものとして差し支えありません
(2)法人の事業の用
□ 法人の事業の用に供されていた宅地等とは、一定の法人の事業の用に供されていたもののうち、①その法人に有償で貸し付けられていた宅地等のほか、②その法人の事業の用に供されていた建物等で被相続人が所有していたもの、または③被相続人の生計一親族が所有していた建物等(生計一親族がその建物等の敷地を被相続人から無償で借り受けていた場合に限ります)でその法人に有償で貸し付けられていたものの敷地の用に供されていた宅地等をいいます
□ 法人の社宅等の敷地の用に供されていた宅地等も、法人の事業の用に供されていた宅地等に該当します。ただし、その社宅等を被相続人等の親族のみが使用していた場合は除かれます
□ 宅地等の上にある建物等を特定同族会社の貸付事業以外の事業の用に供している場合は特定同族会社事業用宅地等の可能性があり、その建物等が特定同族会社の貸付事業の用に供されている場合は貸付事業用宅地等の可能性があります
(3
)居住の用
□ 相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていることが原則です
□ その宅地等が老人ホームに入所していたことにより、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合でも、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして、特例の適用を受けることができます。ただし、被相続人の居住の用に供されなくなった後に、事業の用または新たに被相続人等以外の人の居住の用に供された場合を除きます
□ 被相続人等の居住の用に供されると認められる建物(被相続人または被相続人の親族の所有に係るものに限ります)の建築中等に被相続人について相続が開始した場合には、前述の事業用建物等の建築中等に相続が開始した場合に準じて取り扱われます。ただし、相続の開始の直前において被相続人等が自己の居住の用に供している建物を所有していなかった場合に限られます
(4)生計を一にする
生計一の判定にあたっては、相続税法に『生計を一にする』の基準はなく、以下の所得税基本通達2-47の解釈が適用されます
・・・生計を一にするとは、必ずしも一方が他方を扶養する関係にあることをいうのではなく、また、必ずしも同居していることをいうものでもありません。ただし、次のような場合には、それぞれ次によります
□ 勤務、修学、療養等の都合上、他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとします
①当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
②これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
□親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとします

【4】特例対象宅地等、選択特例対象宅地等、小規模宅地等とは
□ 小規模宅地等の減額特例は、相続または遺贈により取得した宅地等のうち、それぞれの要件をみたす(1)特定事業用宅地等、(2)特定居住用宅地等、(3)特定同族会社事業用宅地等、(4)貸付事業用宅地等のいずれかに該当する宅地等であることが必要です。この要件を満たす宅地等を特例対象宅地等といいます
□ 小規模宅地等の減額特例にあたり宅地等の所有者が被相続人であることは前提になりますが、建物等の所有者が被相続人以外であれば被相続人への地代の発生が考えられ、また、建物等の所有者と利用者が異なれば家賃の発生が考えられます。この建物等の所有者の別および地代や家賃の有無(有償か無償か)により特例対象宅地等の判定は分かれます
□ (1)特定事業用宅地等と(3)特定同族会社事業用宅地等をあわせて、特定事業用等宅地等といいます
□ 宅地等を取得した被相続人の親族は、特例対象宅地等のうち最も課税価格が減額される宅地等を選択(通常は単価が最も高い宅地等を選択)することができますが、この選択した宅地等を選択特例対象宅地等といいます
□ 選択特例対象宅地等の面積の全部が減額の対象となるわけではありません。減額の対象は、選択した宅地等のうち限度面積までの部分に限られます。この、限度面積までの部分を小規模宅地等といいます

【5】相続の開始の直前における宅地等の利用区分に応じた限度面積と減額割合

被相続人等の事業の用>
(1)貸付事業以外の事業用宅地等
・・・特定事業用宅地等 → 限度面積:400㎡/減額割合:80%

(2)貸付事業用宅地等
①一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等
・・・イ.特定同族会社事業用宅地等 → 限度面積:400㎡/減額割合:80%
・・・ロ.貸付事業用宅地等 → 限度面積:200㎡/減額割合:50%
  
②一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等
・・・貸付事業用宅地等 → 限度面積:200㎡/減額割合:50%
③被相続人等の貸付事業用の宅地等
・・・貸付事業用宅地等 → 限度面積:200㎡/減額割合:50%

<被相続人等の居住の用>
(3)被相続人等の居住の用
・・・特定居住用宅地等 → 限度面積:330㎡/減額割合:80%

6】限度面積の考え方
・・・選択特例対象宅地等が、特定事業用宅地等(上記【5】(1))、特定同族会社事業用宅地等(上記【5】(2)①イ)、貸付事業用宅地等(上記【5】(2)①ロ、②、③)、特定居住用宅地等(上記【5】(3))のうち複数ある場合は、次の組み合わせに応じ、それぞれが限度面積となります
□ 宅地等のうちに被相続人等の事業の用および居住の用以外の用に供されていた部分がある場合には、被相続人等の事業の用または居住の用に供されていた部分のみが特例の対象となります
□ 選択特例対象宅地等の組み合わせにより、課税価格が最も減額されるよう選択することや、将来の相続を考慮した選択が考えられます
□ 上記【5】は、平成27年1月1日以後に相続の開始のあった場合の限度面積となります。相続の開始のあった日が平成26年12月31日までの場合は限度面積が異なります

<選択特例対象宅地等が、特定事業用等宅地等および特定居住用宅地等である(貸付事業用宅地等がない)場合>
□ 選択特例対象宅地等の全てが特定事業用宅地等(【5】(1))と特定同族会社事業用宅地等(【5】(2)①イ)である場合のこれらの宅地等の限度面積
 
→ 合計で400㎡
□ 選択特例対象宅地等の全てが特定居住用宅地等(【5】(3))である場合のこれらの宅地等の限度面積
 
→ 合計で330㎡
□ 上記400㎡または300㎡それぞれの限度面積のほか、特定事業用等宅地等および特定居住用宅地等の合計で限度面積730㎡まで適用が可能です

<特例を適用する宅地等が貸付事業用宅地等、およびそれ以外の宅地等である場合(特例を適用する宅地等のうちに、貸付事業用宅地等がある場合)>

□ 選択特例対象宅地等の全てが貸付事業用宅地等(上記【5】(2)①ロ、②、③)である場合のこれらの宅地等の限度面積
 
→ 合計で200㎡
□ 選択特例対象宅地等が、特定事業用宅地等(上記【5】(1))、特定同族会社事業用宅地等(上記【5】(2)①イ)、貸付事業用宅地等(上記【5】(2)①ロ、②、③)、特定居住用宅地等(上記【5】(3))である場合のこれらの宅地等の限度面積は、次の計算式を満たす面積(算式におけるA、BおよびCの面積の端数処理に当たっては、その面積の合計が200㎡を超えないこと)となります

【計算式】A×200/400 + B×200/330 + C ≦ 200㎡

A:特定事業用宅地等(【5】(1))+特定同族会社事業用宅地等(【5】(2)①イ)の面積の合計
B:特定居住用宅地等(【5】(3))の面積の合計
C:貸付事業用宅地等(上記【5】(2)①ロ、②、③)の面積の合計

<計算例>
□ 取得した居住用宅地220㎡の評価額は3,000万円であり、小規模宅地等の要件を満たしていると仮定した場合の相続税の課税価格は以下のとおり減額されます。算出相続税額に大きく影響するため、減税効果は最低税率10%を適用しても240万円(=減額2,400万円×10%)以上となります
 
→ 特例適用前・・・3,000万円
 
→ 特例適用後・・・600万円(3,000万円-3,000万円×80%減額)
□ 取得した事業用宅地600㎡の評価額は4,800万円であり、小規模宅地等の要件を満たしていると仮定した場合の相続税の課税価格は以下のとおり減額されます
 
→ 限度面積・・・400㎡(600㎡のうち)
 
→ 減額割合・・・2,560万円(4,800万円×400㎡÷600㎡×80%
 → 特例適用後・・・2,240万円(4,800万円-2,560万円)
 特定事業用宅地等100㎡と特定居住用宅地等165㎡と貸付事業用宅地等60㎡がある場合
 
→ 100㎡×200/400165㎡×200/33060㎡=210
 
→ 200㎡を超えているため調整が必要です

小規模宅地等の減額特例(その2)

【1】特定事業用宅地等(限度面積400㎡/減額割合80%)
特定事業用宅地等とは、相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除く)の用に供されていた宅地等で、次の(1)と(2)の区分に応じ、それぞれに掲げる事業承継要件と保有継続要件に該当する被相続人の親族が、相続または遺贈により取得したものをいいます

<区分に応じた要件>
(1)被相続人の事業の用に供されていた宅地等

□ 事業承継要件・・・その宅地等で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること

□ 保有継続要件・・・その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

(2)被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等

□ 事業継続要件・・・相続開始の直前から相続税の申告期限(当該親族が申告期限前に死亡した場合にはその死亡の日)まで、その宅地等で自己の事業を営んでいること

□ 保有継続要件・・・その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

<建物等の所有者に応じた特定事業用宅地等の判定>
宅地等の上にある建物等の所有者に応じて判定が異なります。被相続人等の事業の用に供されていた宅地等とは、他に有償で貸し付けられていた宅地等(=貸付事業用宅地等の可能性)のほか、被相続人等の事業の用に供されていた次の①または②の建物等の敷地の用に供されていた宅地等(=特定事業用宅地等の可能性)をいいます
①被相続人等が所有していたもの
②被相続人の別生計親族が所有していたもの(被相続人等がその建物等をその別生計親族から無償で借り受けていた場合に限ります)
□ 建物等を生計一親族または別生計親族が所有し、被相続人に地代を払っていた場合 → 貸付事業用宅地等の可能性(下記【4】参照)
□ 建物等を生計一親族が所有し、地代は無償で被相続人が家賃を払っていた場合 → 貸付事業用宅地等の可能性(下記【4】参照)
□ 建物等を別生計親族が所有し、地代は無償で被相続人等が家賃を払っていた場合 → 減額特例対象外

【2】特定居住用宅地等(限度面積:330㎡/減額割合:80%)

□ 特定居住用宅地等とは、相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の(1)①②③と(2)①②の区分に応じ、それぞれに掲げる取得者ごとの要件に該当する被相続人の親族が、相続または遺贈により取得したものをいいます。なお、その宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります

□ 被相続人の居住の用には、被相続人の居住の用に供されていた宅地等が、養護老人ホームへの入所など被相続人が居住の用に供することができない一定の事由により、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合(被相続人の居住の用に供されなくなった後に、事業の用または新たに被相続人等以外の人の居住の用に供された場合を除きます)におけるその事由により居住の用に供されなくなる直前の被相続人の居住の用を含みます(平成26年1月1日以後相続開始の改正項目です)

□ 被相続人の居住の用に供されていた宅地等が、被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物(『建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物』を除く)の敷地の用に供されていたものである場合には、その敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人の親族の居住の用に供されていた部分(下記(2)に該当する部分を除く)を含みます

□ 『建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物』とは、区分所有建物である旨の登記がされている建物をいいます

□ 被相続人と親族が居住するいわゆる二世帯住宅の敷地の用に供されている宅地等については、二世帯住宅が構造上区分された住居であっても、区分所有建物登記がされている建物を除き、一定の要件を満たすものである場合には、その敷地全体について特例の適用ができるようになりました(平成26年1月1日以後相続開始の改正項目です)

区分に応じた要件>
(1)被相続人の居住の用に供されていた宅地等

①取得者が被相続人の配偶者

□ 取得者等ごとの要件はありません。また、居住する必要はありません

□ 被相続人の配偶者が取得した場合は、要件なく特例の適用が可能です

②取得者が被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族

□ 居住継続と保有継続の要件・・・相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人

□ 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族とは、次のイまたはロのいずれに該当するかに応じ、それぞれの部分に居住していた親族のことをいいます

イ.被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物が、区分所有建物である旨の登記がされている建物である場合・・・被相続人の居住の用に供されていた部分

ロ.イ以外の建物である場合・・・被相続人または被相続人の親族の居住の用に供されていた部分

③取得者が上記①および②以外の親族

□ 次のイからハに該当する場合で、かつ、次のニおよびホの要件を満たす人

イ.相続開始の時において、被相続人若しくは取得者が日本国内に住所を有していたこと、または取得者が日本国内に住所を有しない場合で日本国籍を有していること

ロ.被相続人に配偶者がいないこと

ハ.被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと

□ ニ.相続開始前3年以内に日本国内にある取得者または取得者の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと

□ ホ.その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
(2)被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等

①取得者が被相続人の配偶者

□ 取得者等ごとの要件はありません。また、居住する必要はありません

□ 上記(1)被相続人の居住の用に供されていた宅地等と同様です

②取得者が被相続人と生計を一にしていた親族

□ 居住継続と保有継続の要件・・・相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人

<建物等の所有者に応じた特定居住用宅地等の判定>
・・・宅地等の上にある建物等の所有者に応じて判定が異なります。被相続人等の居住の用に供されていた宅地等とは、相続の開始の直前において、被相続人等の居住の用に供されていた家屋のうち、次の①~③の敷地の用に供されていた宅地等をいいます
①被相続人が所有していたもの
②被相続人が所有し、生計一親族が居住の用に供していたもの(生計一親族が被相続人から無償で借り受けていたものに限ります)
③被相続人の親族が所有していたもの(家屋を所有していた親族がその家屋の敷地を被相続人から無償で借り受けており、かつ、被相続人等がその家屋を親族から無償で借り受けていたときに限ります)
□ 建物等を生計一親族または別生計親族が所有し、被相続人に地代を払っていた場合 → 貸付事業用宅地等の可能性(下記【4】参照)
□ 建物等を被相続人が所有し、生計一親族が家賃を払っていた場合 → 貸付事業用宅地等の可能性(下記【4】参照)
□ 建物等を別生計親族が所有し、地代は無償で被相続人等が家賃を払っていた場合 → 減額特例対象外

・・・老人ホームに入所していたこと等の事由により、被相続人の居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた場合については、次の①または②の家屋の敷地の用に供されていた宅地等をいいます
①被相続人が所有していたもの
②被相続人の親族が所有していたもの(家屋を所有していた親族がその家屋の敷地を被相続人から無償で借り受けており、かつ、被相続人がその家屋を親族から無償で借り受けていたときに限ります)

【3】特定同族会社事業用宅地等(限度面積:400㎡/減額割合:80%)

□ 特定同族会社事業用宅地等とは、相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(貸付事業を除く)の用に供されていた宅地等で、次の法人役員要件および保有継続要件に該当する被相続人の親族が、相続または遺贈により取得したものをいいます

□ 特定同族会社事業用宅地等には、特定同族会社に宅地等を貸し付ける場合と、建物等を貸し付ける場合が考えられます


区分に応じた要件>
□ 法人役員要件・・・相続税の申告期限において、その法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除く)をいう)であること

□ 保有継続要件・・・その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

□ 法人の要件・・・相続開始の直前において被相続人および被相続人の親族等がその法人の発行済株式の総数または出資の総額の50%超を有している法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除く)であること=特定同族会社といいます

□ 法人税法第2条第15号に規定する役員とは、取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事など法人の経営に従事している者をいいます

<建物等の所有者に応じた特定同族会社事業用宅地等の判定>
宅地等の上にある建物等の所有者に応じて判定が異なります。法人の事業の用に供されていた宅地等とは、一定の法人に有償で貸し付けられていた宅地等のほか、法人の事業の用に供されていた次の①または②の建物等でその法人に有償で貸し付けられていたものの敷地の用に供されていた宅地等をいいます
①その法人の事業の用に供されていた建物等で被相続人が所有していたもの
②被相続人の生計一親族が所有していた建物等(生計一親族がその建物等の敷地を被相続人から無償で借り受けていた場合に限ります)
□ 建物等を生計一親族または別生計親族が所有し、生計一親族または別生計親族が被相続人に地代を払っていた場合 → 貸付事業用宅地等の可能性(下記【4】参照)
□ 建物等を特定同族会社が所有し、特定同族会社が被相続人に地代を払っていない場合 → 減額特例対象外
□ 建物等を別生計親族が所有し、別生計親族が被相続人に地代を払っていない場合 → 減額特例対象外(地代を払っていた場合は貸付事業用宅地等の可能性(下記【4】参照))
□ 建物等を被相続人等が所有し、地代は無償で特定同族会社が被相続人等に家賃を払っていない場合 → 減額特例対象外
□ 建物等を被相続人等が所有し、特定同族会社が貸付事業以外の事業の用に供しており、被相続人等に家賃を払っているが役員要件を満たさない親族が取得した場合 → 貸付事業用宅地等の可能性(下記【4】参照)

【4】貸付事業用宅地等(限度面積:200㎡/減額割合:50%)
□ 貸付事業用宅地等とは、相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、次の(1)または(2)の区分に応じ、それぞれに掲げる事業承継要件と保有継続要件に該当する被相続人の親族が、相続または遺贈により取得したものをいいます
□ 事業的規模でない不動産貸付けの場合は、使用貸借により貸し付けられている宅地等を除き、事業規模を問わず特例の対象(減額割合は50%)となります
□ 宅地等の上にある建物等の所有者に応じた地代と家賃の有無により、または適用要件の一部を満たさない場合でも貸付事業用宅地等と判定できる場合があります(上記【1】~【3】参照)

区分に応じた要件>
(1)
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等
□ 事業承継要件・・・その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること

□ 保有継続要件・・・その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
(2)被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等

□ 事業継続要件・・・相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る自己の貸付事業を行っていること

□ 保有継続要件・・・その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

相続税の課税価格の計算 -特殊な事案-




-贈与税のしくみ-

【1】贈与とは
□ 贈与とは、当事者の一方が、『あなたにこれを差し上げます(=お前にこれをやる)』→『ありがとうございます(=もらうよ)』という取引で成立する諾成契約をいいます。諾成契約は、当事者の合意だけで成立し、物の引渡などは不要なため、口頭でもOK(成立する)とされます。
□ 口頭による贈与は撤回が可能とされます(履行の終わらない部分に限ります)
□ 書面による贈与の場合(または書面によらなくても贈与契約の履行が終了した場合)は撤回が不可能となります
□ 使用貸借や無償の労務給付は、贈与者の財産の実態が減少しないため贈与には該当しません
□ 贈与により財産をもらった者を、受贈者といいます
□ 贈与により財産を与えた者を、贈与者といいます

【2】贈与を受ける財産の取得の時期
□ 贈与による財産取得時期の判定は、①納税義務の発生、②贈与財産の評価年、③贈与税の申告年の適用に関連します
□ 贈与による財産取得の時期は、原則として次の(1)~(4)に応じた時期となります
(1)口頭による贈与・・・贈与の履行があった時
(2)書面による贈与・・・贈与契約の効力が発生した時
(3)停止条件付贈与・・・その条件が成就した時
(4)農地等の贈与・・・農地法の規定による許可または届出の効力が生じた時
※上記(1)~(3)につき贈与の日が明らかでない場合において、所有権等の目的となる財産の贈与については、登記・登録があった時とされます

【3】暦年課税と相続時精算課税の選択
□ 贈与税は、財産をもらった受贈者が申告し納付する税金です
□ 贈与税の申告納付については、①暦年課税と、②相続時精算課税の2つの課税方法があり、原則、暦年課税が適用され、一定の要件を満たす場合に限り、相続時精算課税を選択することができます

※贈与税のしくみ(1)-2つの課税方法の
選択-で贈与税の課税方法を確認して下さい
【平成26年12月31日以前適用分】

贈与税のしくみ(1)-2つの課税方法の選択-

※贈与税のしくみ(1)ⅰ-2つの課税方法の
選択-で贈与税の課税方法を確認して下さい
【平成27年1月1日以後適用分】

贈与税のしくみ(1)-2つの課税方法の選択-

【4】必要な手続き

□ 基礎控除額110万円を利用することで、1年間で複数の子や孫に対して、無税で資金を移転することが可能(≒贈与者の将来の相続税を軽減できる)ですが、相続時にそれらが贈与と認められずに、単なる名義預金として相続税の課税対象とされる場合があります。贈与の事実について後で課税上のトラブルが生じないように、最低限次の手続きを行い、客観的な証拠を残しておくことが必要です
○ 贈与が『成立』し、『履行』が終了していることがとても重要となります
○ 贈与の際は、必ず贈与契約書を作成する
○ 贈与者の口座から、受贈者の口座へ振り込む
○ 預金は、受贈者が自分で管理する
○ 110万円を超える場合は、必ず贈与税の申告をする
□ 暦年課税制度については、こちらを確認して下さい
□ 相続時精算課税制度については、こちらを確認して下さい
□ 生前贈与があった場合に相続税の課税価格に加算するもの

暦年課税制度 -基礎控除110万円-

【1】贈与税の申告義務の判定
□ 暦年課税の場合、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に贈与により取得した財産の価額の合計額が、基礎控除額の110万円を超えた場合に、贈与税の申告と納税が必要となります
□ 贈与税の基礎控除額は、贈与者ごとではなく、受贈者ごとに1年間で110万円となります。そのため、1年間に複数の人から贈与を受けた場合、その贈与を受けた財産の価額の合計額から控除できる基礎控除額は、贈与者の人数にかかわらず110万円となります。
□ 人格のない社団等(PTAや同窓会、町内会など)が受贈者となって贈与税が課税される場合の基礎控除額については、受贈者ごとに1年間で110万円ではなく、各贈与者ごとの課税価格からそれぞれ110万円を控除することができます
□ 1年間にもらった財産の合計額が110万円を超えた場合は、超えた額に対して課税されます。また、110万円以下であれば、贈与税はかかりませんので贈与税の申告も不要です。

【2】贈与税の納税義務者
□ 贈与税は個人に課税される税金です。法人が贈与により財産を取得した場合は、法人税が課税されるため贈与税の納税義務者となりません。
□ 人格のない社団等および持分の定めのない法人(一般財団法人や一般社団法人、学校法人、社会福祉法人など)のうち一定の要件を満たす法人は、個人とみなされて贈与税の納税義務者となります
□ 納税義務者である個人は、贈与による財産の取得時に国内に住所があるかどうかによって3つに区分され、その区分に応じ贈与税の課税される財産の範囲が異なります
□ 納税義務者の区分に応じ贈与税の課税される財産の範囲が異なることから、贈与財産の額=課税される財産の額とならないことに注意して下さい
□ 贈与により取得した財産のうち贈与税が課税される財産を把握するため、自分がどの納税義務者の区分に該当するか判定します
□ 北方領土(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)は相続税法の施行対象地ではないため、相続税法上では『国内』と表現せず『法施行地』と表現しております

※贈与税のしくみ(2)-贈与税の納税義務者-で、納税義務者の区分を確認して下さい

贈与税のしくみ(2)-贈与税の納税義務者-

【3】贈与税申告書の提出期限(申告期限)

□ 贈与税がかかる場合には、受贈者は申告と納税をする必要があります。贈与税の申告と納税は、原則、受贈者が財産をもらった年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。
□ 相続時精算課税を適用する場合には、受贈者は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に納税額がないときであっても申告する必要があります
□ 贈与税の申告書の提出先は、原則、受贈者の住所を所轄する税務署となります

平成27年分贈与税の申告期限・・・平成28年2月1日~3月15日まで
平成27年分贈与税の納付期限・・・平成28年3月15日

□ 死亡した受贈者の贈与税の申告については、以下の(1)~(4)のとおりとなります
(1)贈与税の申告が必要なケース
①年の中途において死亡した者が、その年の1月1日から死亡した日までに贈与により財産を取得したとき
②贈与税の申告書を提出すべき者が、申告書の提出期限前(=贈与年の翌年3月15日まで)に、申告書を提出しないで死亡したとき
(2)申告書の提出義務者
・・・死亡した受贈者(=本来の贈与税の申告義務者)の相続人または包括受遺者
(3)贈与税の申告期限
・・・死亡した受贈者の相続開始があったことを知った日(=通常は受贈者の死亡日)の翌日から10ヶ月以内
(4)申告書の提出先
・・・死亡した受贈者の納税地の所轄税務署
□ 平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧(国税庁HP)
□ 平成27年分贈与税の申告のしかた(国税庁HP)
□ 平成27年分用資産税関係チェックシート(東京国税局HP)

【4】贈与税の計算方法(平成27年1月1日以後改正あり)
□ 暦年課税の税率に『特例税率』が新設されました。平成27年分以後の贈与からは、従来の『一般税率』と新設の『特例税率』による2種類の税率を使って贈与税が計算されます。

※贈与税のしくみ(1)ⅱ-暦年課税は税率が2種類-で暦年課税の計算方法を確認して下さい

贈与税のしくみ(1)-2つの課税方法の選択-

□ 暦年課税の場合の贈与税の計算方法は、贈与財産の価額から基礎控除額を控除した後の金額(千円未満切り捨て)を課税価格とし、10%~50%までの累進課税により計算します


【計算式】 贈与税額 = (贈与財産の価額 - 110万円) × 税率 - 控除額

□ 贈与税の税率表(速算表)/PDF
例1)現金100万円の一般贈与のみを受けた場合の納税額
・・・基礎控除額以下のため、申告および納税の必要はありません(現金100万円の特例贈与のみを受けた場合も同様です)
例2)現金1,000万円の一般贈与のみを受けた場合の納税額
・・・(1,000万-110万=890万)×40%-125万 = 231万円
例3)現金1,000万円の特例贈与のみを受けた場合の納税額
・・・(1,000万-110万=890万)×30%-90万 = 177万円
□ 相続税・贈与税の総額試算コーナー(お役立ちコーナー/相続税・贈与税シミュレーション)

【5】贈与税の納付方法
□ 贈与税もほかの税金と同じく金銭で一時に納めるのが原則です
□ 次の(1)と(2)の要件を満たす場合には延納制度を利用できるため、金銭一括納付に代えて、贈与税を5年以内の年賦により分割で納付することが可能となります
(1)延納を受けるための3要件
①申告による納付税額が10万円を超えていること
②金銭で一度に納めることが難しい理由があること
③担保を提供すること(延納税額が100万円以下、延納期間3年以内の場合は不要)
(2)延納するための手続き
□ 延納しようとする贈与税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して所轄税務署長に提出すること
□ 延納できることになった税金には、原則年率6.6%の利子税(延滞税ではありません)がかかります。ただし、相続税の延納制度と同様、贈与税の延納利子税の割合についても延納特例割合を適用することができます。

相続時精算課税制度(1) -特別控除2,500万円-

【1】制度の概要
□ 贈与税の課税方法は暦年課税が原則ですが、一定の要件を満たす場合は、相続時精算課税を選択することができます
□ 平成27年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について、贈与者および受贈者の要件が改正されました
□ 相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母(贈与者)から、20歳以上の直系卑属である推定相続人である子または孫(受贈者)が受けた贈与について、受贈者(である子または孫)の贈与税の計算上適用できる制度です
□ 相続時精算課税における用語の使い分けは以下のとおりとなります
(1)60歳以上の贈与者(父母または祖父母)を、特定贈与者といいます
(2)20歳以上の受贈者(子または孫)を、相続時精算課税適用者といいます
(3)特定贈与者から贈与を受けた財産を、相続時精算課税適用財産といいます
□ 特定贈与者ごとに、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産(=相続時精算課税適用財産)の価額の合計額から、2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して、一律20%の税率により贈与税が課税されます

【2】適用対象者
□ 年齢は贈与の年の1月1日現在で判定し、推定相続人であるかどうかは、贈与時点で贈与者の推定相続人であるかどうかで判定します
□ 60歳以上の贈与者には、通常、父母の両者が該当するため相続時精算課税の選択は次のパターンが考えられます。なお、父および母の両方について適用する場合でも、選択開始が同時である必要はありません。また、祖父母からの贈与が見込まれる場合は、これ以上のパターンも考えられます
(1)父からの贈与のみについて適用=特別控除額は2,500万円を限度
(2)母からの贈与のみについて適用=特別控除額は2,500万円を限度
(3)両親からの贈与すべてについて適用=特別控除額は合計で5,000万円を限度
□ 贈与者との養子縁組などにより、年の中途で贈与者の推定相続人になった年の贈与について相続時精算課税を選択する場合については、次のとおりとなります
(1)贈与者の推定相続人となる前(=養子縁組前)に、その贈与者から贈与を受けた財産については、相続時精算課税の適用を受けることはできません
(2)贈与者の推定相続人となった時以後(=養子縁組により贈与者の推定相続人となった以後)に、その贈与者から贈与を受けた財産については、相続時精算課税の適用を受けることができます
(3)養子縁組が解消された場合は推定相続人となりませんが、養子縁組の解消前の贈与について相続時精算課税の適用を受けている場合には、養子縁組の解消後の贈与についても、相続時精算課税が適用されます

【3】特別控除額は2,500万円を限度
□ 相続時精算課税適用財産に係る贈与税については、相続時精算課税適用財産の価額から次のうちいずれか低い額を控除します
(1)2,500万円(前年以前にすでにこの特別控除を適用し控除した金額がある場合には、2,500万円からその金額の合計額を控除した残額)
(2)特定贈与者ごとの相続時精算課税適用財産の価額
□ 上記(1)(2)の比較により、結局2,500万円までの贈与は無税となりますが、この特別控除額は、原則として贈与税の申告期限内に、今年の贈与につき控除しようとする特別控除額およびすでに過年度で控除した特別控除額などの必要事項を記載した贈与税の申告書を提出した場合に限り控除することができるとされています。なお、控除しきれなかった特別控除額は翌年以降に繰り越されます。
□ 特別控除額の記載のない期限内申告書、または期限後申告書を提出する場合の贈与税額は、特別控除額を控除できず暦年課税の適用もないため、贈与財産の価額に単純に20%の税率を乗じた金額となります
□ 特別控除額の限度額を2,500万円と設定しているため、特定贈与者からの贈与については、金額の多寡にかかわらず申告が必要となります。例えば、年間50万円程度の金銭贈与であっても申告することにより『前年以前にすでにこの特別控除を適用し控除した金額』としてカウントする必要があります。
□ 相続時精算課税適用財産については、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんが、その年に、特定贈与者以外の者から受けた贈与については暦年課税が適用されるため、110万円の基礎控除額を控除することができます

【4】贈与税の計算方法
□ 相続時精算課税については、特定贈与者以外の者から贈与を受けた財産と区分して、特定贈与者からその年に贈与を受けた財産(=相続時精算課税適用財産)の価額を合計し、その合計額を贈与税の課税価格とします
□ 特定贈与者ごとに計算した相続時精算課税適用財産の価額から特別控除額を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて計算した金額が納付すべき贈与税額となります
□ 相続時精算課税適用財産を受けた者が、同じ年に特定贈与者以外の者から贈与を受けた場合については、相続時精算課税適用財産は一律20%の税率により、特定贈与者以外の者からの贈与財産は暦年課税による累進税率により。それぞれ贈与税が計算されその合計額が納付すべき贈与税額となります
(1)相続時精算課税適用財産の計算式
・・・贈与税額 = (贈与財産の価額 - 2,500万円) × 20%
(2)特定贈与者以外の者からの贈与財産(暦年課税)の計算式
・・・贈与税額 = (贈与財産の価額 - 110万円) × 税率 - 控除額
(3)その年分の納付すべき贈与税額
・・・(1)+(2)の合計額

【5】相続時精算課税の手続き
□ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで(=贈与税の申告期限内)に、相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書に添付して提出しなければなりません。この場合の提出先は、受贈者の贈与税の納税地の所轄税務署長となります
□ 相続時精算課税選択届出書は、特定贈与者ごとに提出しなければなりません
□ 提出した相続時精算課税選択届出書は撤回することができません(=以後、特定贈与者からの贈与については暦年課税に戻ることはできません)ので、相続時精算課税の選択にあたっては、十分検討が必要です
□ 相続時精算課税の選択に関する書類
(1)相続時精算課税選択届出書(平成27年分用)
・・・相続時精算課税の適用を受ける場合に使用します
(2)相続時精算課税を適用する場合のチェックシート
(東京国税局HP/平成27年分用資産税関係チェックシート)

【6】贈与者が年の中途で死亡した場合の相続時精算課税の選択
□ 贈与者が贈与をした年の中途で死亡した場合に、受贈者が相続時精算課税の適用を受けるときの『相続時精算課税選択届出書』の提出期限および提出先は、通常の場合とは異なり、次の(1)または(2)のいずれか早い日までに、贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出する必要があります
(1)贈与税の申告書の提出期限・・・通常は、贈与を受けた年の翌年の3月15日
(2)贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限・・・通常は、贈与者について相続の開始があったことを知った日の翌日から10月を経過する日
□ 上記(2)の日が相続時精算課税選択届出書の提出期限となる場合で、贈与者の死亡に係る相続税の申告書を提出するときには、相続税の申告書にこの届出書を添付する必要があります。また、相続税の申告書を提出する必要がない場合であっても、相続時精算課税の適用を受けるためには、提出期限までに相続時精算課税選択届出書を贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

【7】贈与を受けた年に受贈者が死亡した場合の選択
□ 受贈者が相続時精算課税の適用を受けることができる場合に、その贈与を受けた年の翌年の3月15日以前に『相続時精算課税選択届出書』を提出しないで死亡したときは、その受贈者の相続人は、次の(1)と(2)により『相続時精算課税選択届出書』を提出(贈与税の申告書に添付)することで、その贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けることができます
(1)提出先・・・死亡した受贈者の贈与税の納税地の所轄税務署長
(2)提出期限・・・その死亡したことを知った日の翌日から10月以内
□ 相続人が2人以上いる場合には、相続人全員が『相続時精算課税選択届出書付表』に連署しなければ、相続時精算課税の適用を受けることはできません。なお、この場合の相続人は、包括受遺者を含み、その贈与者を除く者をいいます。
□ 上記の適用により、『相続時精算課税選択届出書』を提出した相続人は、被相続人(この場合の死亡した受贈者)についての相続時精算課税の適用に係る納税に関する権利義務を承継することになります

相続時精算課税制度(2) -相続税申告との関係-

【1】相続時精算課税適用財産に係る相続税申告時の各種適用関係
<相続税の課税価格の調整>
(1)相続または遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者の場合
・・・相続時精算課税適用財産については相続税の課税価格に加算します
(2)相続または遺贈により財産を取得しなかったまたは相続の放棄をした相続時精算課税適用者の場合
・・・相続時精算課税適用財産を相続または遺贈により取得したものとみなします
(3)上記(1)および(2)により課税価格に加算(算入)される財産の価額
・・・贈与の時における価額(相続時の評価額ではありません)となります。(1)と(2)では表現が違いますが、結局のところ相続時精算課税適用財産を贈与時の評価額で相続財産に加算して、相続税を計算します。
<相続税申告時の各種適用関係>
□ 債務控除・・・適用があります
□ 相続開始前3年以内の贈与加算・・・適用があります(ただし、相続時精算課税適用財産を除く)
□ 相続税の基礎控除・・・適用があります
□ 相続税額の2割加算・・・適用があります
□ 贈与税額控除(暦年課税における贈与税額の控除)・・・相続開始前3年以内に贈与により取得した財産の価額について相続税の課税価格に加算されるものがある場合は、その贈与財産の価額に対応する贈与税額については、相続税額から控除することができます
□ 未成年者控除・・・相続時精算課税適用者は、その贈与の時には20歳以上であるため未成年者に該当せず本来の未成年者控除の適用はありませんが、他の相続人の扶養義務者として未成年者控除の適用を受けることができます
□ 障害者控除・・・適用があります(相続開始時において国内に住所を有している者に限る)
□ 相次相続控除・・・控除限度額を計算する場合の『第2次相続に係る被相続人が第1次相続により取得した財産の価額』および『第2次相続により相続人および受遺者が取得した財産の価額』には、相続時精算課税適用財産の価額を含みます
□ 外国税額控除・・・適用があります
□ 相続時精算課税における贈与税額の控除・・・適用があります
□ 小規模宅地等の減額特例・・・特例の適用を受けることはできません
□ 物納財産・・・物納をすることはできません

【2】相続時精算課税を選択した者に係る相続税額の計算
(1)相続時精算課税適用財産は必ず相続財産に加算して相続税を計算するため、贈与時と相続時に次の差異が生じます
□ 贈与時より評価額が下がった場合は、相続時で再評価できないため生前贈与による節税効果はなかったことになります。逆に贈与時より評価額が上がった場合は、生前贈与による節税効果があったと考えてよいでしょう。
□ 相続財産を減らす(=相続財産から除外する)ことはできません。ただし、暦年課税であれば相続開始前3年以内の贈与に該当しない限り相続財産を減らすことができます。
□ 贈与を受けた現金を使ってしまった、または不動産を売却したなどにより贈与財産が相続時に現存していなくても相続税は課税されるため、贈与時に無税であったとしても相続時の納税資金を確保する必要があります
(2)相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、①特定贈与者の死亡までに贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額(贈与時の価額)と、②特定贈与者の死亡に伴う相続または遺贈により取得した財産の価額(相続時の価額)とを合計した金額を相続税の課税価格として計算します
(3)この課税価格に基づいて計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して納付すべき相続税額を算出します。なお、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額がある場合は、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

【3】相続時精算課税の適用に係る納税に関する権利義務の承継
□ 特定贈与者の死亡以前にその特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合は、相続時精算課税適用者の相続人(=承継相続人といいます)は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用に係る納税に関する権利義務を承継します
□ 承継相続人は、包括受遺者を含み、その特定贈与者は除かれます
□ 相続時精算課税適用者の相続人が2人以上ある場合の納税に関する権利義務の承継の割合は、法定相続分、代襲相続分、指定相続分による相続分(何れも特定贈与者がいないものとして計算した相続分)により案分した金額となります
□ 権利義務の承継割合の例①
・・・相続時精算課税適用者の相続人が当該相続時精算課税適用者の配偶者および子の計2人である場合は、配偶者と子がそれぞれ1/2ずつの割合で承継します
□ 権利義務の承継割合の例②
・・・相続時精算課税適用者の相続人が当該相続時精算課税適用者の配偶者、父(特定贈与者)および母の計3人である場合は、父(特定贈与者)を除く配偶者および母が権利義務を承継し、その割合は配偶者が2/3、母が1/3で承継します

【4】承継相続人または再承継相続人に係る相続税額の計算のまとめ
□ 特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡したため承継相続人が相続時精算課税の適用に係る納税に関する権利義務を承継した後において、その承継相続人が死亡した場合は、この承継相続人の相続人(=再承継相続人といいます)が、その承継相続人が承継をした割合に応じて相続時の精算がされます
□ 再承継相続人が死亡している場合は、再承継相続人の相続人に対しては相続時精算課税の適用に伴う納税に関する権利義務の承継はされません。これにより再々承継分の権利義務は消滅し、相続時の精算の必要はなくなります。
□ 承継相続人または再承継相続人に係る相続税額の計算は次の(1)~(6)のとおりとなります
(1)課税価格・・・相続時精算課税の適用を受ける財産の価額の合計額(承継されないこととなる金額を除きます)
(2)債務控除・・・適用ありません
(3)基礎控除・・・適用あり(ただし、死亡相続時精算課税適用者は相続人の数に含まれない)
(4)未成年者控除および障害者控除・・・適用ありません
(5)外国税額控除・・・適用あり
(6)相続時精算課税における贈与税額の控除・・・適用あり

【5】暦年課税と相続時精算課税の使い分け
□ 贈与税の適用要件・・・暦年課税は(相続時精算課税を選択しないときの)原則的な課税方法。相続時精算課税は贈与者および受贈者に親族要件と年齢要件があり選択が必要な課税方法。
□ 贈与税の手続き・・・暦年課税は特例の適用を受ける場合を除き申告書提出以外の手続きは不要。相続時精算課税は選択開始時の届出および特別控除額の申告書への記載を含めて手続きは絶対条件。
□ 控除額の違い・・・暦年課税は受贈者1人につき1年あたり110万円(=10年であれば1,100万円)。相続時精算課税は特定贈与者ごとに各2,500万円(=生涯での限度額)。
□ 多額の現金贈与を考えている場合の即効性・・・暦年課税は受贈者の頭数を増やし贈与年を分散させて基礎控除額をフル活用する必要がある。相続時精算課税は20歳以上の推定相続人である子に限定されるが一度に多額の贈与も可能。
□ 控除額の活用(子2人に5,000万円の贈与を検討している場合)・・・暦年課税は足掛け23年(@110万円×2人×23年=5,060万円)で無税による生前贈与が可能。相続時精算課税は1回で無税による生前贈与が見込まれる。
□ 贈与税の計算・・・暦年課税は基礎控除後の課税価格に10%~55%までの累進税率を乗じて計算。相続時精算課税は特別控除後の課税価格に一律20%を乗じて計算。
□ 贈与税の非課税ラインの違い・・・暦年課税は基礎控除110万円までは無税。相続時精算課税は特別控除額2,500万円までは無税。
□ 贈与税の申告・・・暦年課税は他の特例を受ける場合を除き課税価格が110万円を超えた場合のみ申告が必要。相続時精算課税は課税価格の多寡に関わらず期限内申告が必要。
□ 相続税が無税と予測される場合の生前贈与・・・贈与税も無税を求めるのであれば暦年課税による生前贈与は無理をしない。相続時精算課税は2,500万円以下の贈与であれば無税で生前に移転が可能。
□ 相続税の課税価格への加算・・・暦年課税は(相続または遺贈により財産を取得した場合に)相続開始前3年以内の贈与を加算。相続時精算課税は必ず加算。何れも加算される価額は贈与時の価額(評価額)。
□ 相続税の納税資金の確保・・・暦年課税は相続開始前3年以内の加算に該当しない限り贈与財産に対応する相続税は発生しない。相続時精算課税は必ず加算され相続税が発生するため納税資金の確保が必要。
□ 相続財産を減らす効果・・・暦年課税であれば相続開始前3年以内の贈与に該当しない限り相続財産を総合的に減らすことが可能。相続時精算課税は必ず加算されることから相続財産を減らすことはできない。
□ 納付した贈与税の取扱い・・・暦年課税は相続開始前3年以内の贈与が加算された場合のみ控除可能。相続時精算課税は相続税の税率で再計算されるものの贈与税20%相当額は必ず控除または還付が可能。

贈与税の課税財産

【1】贈与税がかかる財産(=贈与税の課税財産)
□ 贈与により取得した財産(=受贈財産)の評価
・・・受贈財産は財産取得時の価額で評価することになりますが、評価方法は相続税法と財産評価基本通達により一般に公表されています。評価方法を間違えば必要のない税金を納めることになりますので、相続税同様、贈与税を計算するには受贈財産をどのように評価するかが重要となります。
□ 受贈財産の評価については、財産評価のしくみでご確認下さい

<ケースに応じた贈与税の課税関係>
(1)負担付贈与・・・贈与財産の価額から負担額を控除した価額が課税価格となります
(2)死因贈与・・・相続税の課税対象となります(贈与税は課税されません)
(3)定期贈与・・・定期金に関する権利の価額が課税価格となります

<財産の名義変更があった場合の贈与税の課税関係>
財産の名義変更が行われた場合において対価の支払がないとき、または他人名義により財産の取得が行われた場合の贈与税の課税については、以下の原則的な取り扱いのほか例外的な取り扱いが認められます
□ 原則・・・名義人となった者が当該財産またはその取得資金を贈与により取得したものとされます
□ 例外・・・次の(1)または(2)に該当する場合は、贈与がなかったものとして取り扱われます
(1)次の事実があったため、贈与税が課税される前に財産の名義を、変更前の所有者名義または実際の取得者名義にしたとき
□ 財産の名義人となった者(その者が未成年者である場合にはその法定代理人を含む)が、その名義人となっている事実を知らなかったこと(当時の情況等から確認できる場合に限る)
□ 名義人となった者がこれらの財産を使用収益、管理運用またはその収益を享受していないこと
□ 他人名義としたことが過誤に基づきまたは軽率にされたものであり、かつ、それが取得者等の年齢その他により確認できること
(2)他人名義としたことが法令に基づく所有の制限その他のこれに準ずる真にやむを得ない理由に基づいて行われたものである場合においては、その名義人になった者との合意により名義を借用したものであり、かつ、その事実が確認できるとき

【2】贈与税がかからない財産(=贈与税の非課税財産)
□ 贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。以下の(1)~(11)を『非課税財産』といい、これらの財産については贈与税の課税価格に算入されないため、贈与税は課税されません。
□ 基礎控除額110万円以下の少額贈与については、非課税ではなく申告不要により贈与税が無税という取り扱いとなります

<贈与税がかからない財産の例示>
(1)法人からの贈与により取得した財産

・・・贈与税は個人から贈与により財産を取得した場合にかかる税金であり、法人から贈与により財産を取得した場合には贈与税ではなく所得税(一時所得)が課税されます

(2)夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
・・・①生活費とは、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、②教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として『必要な都度直接これらに充てるためのもの』に限られるため、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金しまたは株式・不動産などの買入資金に充てている場合や、必要な金額を見越した一括贈与(※)の場合は原則どおり贈与税がかかります。
※下記(11)祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度も参考にして下さい

(3)一定の公益事業を行う者が取得した公益事業用財産
・・・宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

(4)特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの
・・・財務大臣が指定する金品等に限ります

(5)心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金の受給権
・・・受給権を取得した一定の者は、その給付金につき贈与税または所得税は課税されません

(6)公職選挙法の適用を受ける選挙の候補者が選挙運動のために取得した金品で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの

(7)特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
・・・国内に居住する特別障害者が特別障害者扶養信託契約に基づいて信託受益権を贈与により取得した場合には、その信託の際に『障害者非課税信託申告書』を信託会社の営業所を経由して特別障害者の納税地の所轄税務署長に提出することにより、信託受益権の価額(信託財産の価額)のうち6,000万円までの金額に相当する部分については贈与税がかかりません

(8)社交上必要と認められる香典など
・・・個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

(9)相続があった年に被相続人から取得した受贈財産
・・・相続や遺贈により財産を取得した者が、相続開始年に被相続人から贈与により取得した財産については、贈与税は課税されず、相続税の課税価格に加算されたうえで相続税が課税されます。ただし、相続や遺贈により財産を取得していなければ、原則どおり贈与税が課税されます。

(10)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例
・・・平成26年分までの『旧非課税制度』が改正され、平成27年1月1日から平成31年6月30日までの住宅取得等資金の贈与について適用される『新非課税制度』であり、非課税限度額は贈与年により異なります。また、この『新非課税制度』に関連した相続時精算課税選択の特例制度もあわせて確認して下さい。

(11)祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
・・・教育資金の贈与税については、上記(2)『~や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのもの』に限り非課税とする考え方が原則であり、『必要な都度』に該当しない一括贈与は贈与税が課税されてしまいます。
この新設された制度(平成25年4月1日から平成31年3月31日までの贈与に適用)は、要件を満たした教育資金については1,500万円までの一括贈与を非課税とする規定であり、即効性がある制度と考えられます。なお、この非課税制度の適用開始には教育資金口座の開設等、金融機関等での手続きが必要です。

贈与税の配偶者控除 -妻に居住用不動産等を贈与した場合-

【1】贈与税の配偶者控除の適用要件
□ 贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間(夫から妻へまたは妻から夫へ)で、①居住用不動産の贈与、または②居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合は、贈与税の課税価格から、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円を控除することができる制度です。なお、この特例は、贈与税の申告が条件となります
□ 贈与税の配偶者控除を適用することで、課税価格が2,110万円までの居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与については、贈与税はかかりません(=無税、ただし贈与税の申告は必要です)
<例>居住用建物3,000万円の贈与を受けた事案で、①配偶者控除の適用がある場合と、②配偶者控除の適用がない場合の贈与税額を比較してみます
・・・①(3,000万-2,000万-110万=890万)×40%-125万 = 231万円
・・・②(3,000万-110万=2,890万)×50%-225万 = 1,220万円
<特例を受けるための適用要件>
□ 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
□ 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること
□ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、受贈者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
※婚姻期間が20年以上であるかどうかは、婚姻のあった日から贈与の日までの期間(婚姻期間に1年未満の端数がある場合は切り捨て)により判定します。なお、贈与税の配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません

【2】贈与税の配偶者控除の手続き
□ 適用を受けるための手続きは、贈与税の申告書に次の(1)~(4)の書類を添付する必要があります
(1)受贈者の戸籍謄本または抄本(財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
(2)受贈者の戸籍の附票の写し(財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
(3)居住用不動産の登記事項証明書
(4)受贈者の住民票の写し(その居住用不動産に住んだ日以後に作成されたものに限り、戸籍の附票の写しに記載されている受贈者の住所が居住用不動産の所在場所である場合には添付は不要)
□ 贈与税の配偶者控除の特例のチェックシート
(東京国税局HP/平成27年分用資産税関係チェックシート)

【3】配偶者控除の対象となる居住用不動産の範囲
□ 居住用不動産は、贈与を受けた配偶者が居住するための国内の家屋またはその家屋の敷地(借地権を含む)をいいます。なお、居住用家屋とその敷地は一括して贈与を受ける必要はありません
□ 居住用家屋のみあるいは居住用家屋の敷地のみ贈与を受けた場合も配偶者控除を適用できます。ただし、居住用家屋の敷地のみの贈与について配偶者控除を適用する場合には、次の(1)または(2)のいずれかに当てはまることが必要です
(1)夫または妻が居住用家屋を所有していること・・・例えば妻が居住用家屋を、その夫が敷地をそれぞれ所有しているときに、妻が夫からその敷地の贈与を受ける場合
(2)贈与を受けた配偶者と同居する親族が居住用家屋を所有していること・・・例えば、夫婦と子供が同居していてその居住用家屋の所有者が子供で敷地の所有者が夫であるときに、妻が夫からその敷地の贈与を受ける場合
□ 居住用家屋の敷地の一部の贈与や、居住用家屋の敷地が借地権のときに金銭の贈与を受けて地主から底地を購入した場合であっても、この特例を適用することができます
□ 店舗併用住宅の場合も住宅部分についてこの制度の適用が可能です。この場合の居住用部分の判定は、専ら居住の用に供している部分の床面積+居住用と非居住用の併用部分の床面積のうち居住用に対応する部分の床面積=居住の用に供している部分の床面積と判定します。なお、居住用部分が概ね90%以上の場合は、すべて居住用不動産として扱うことができます
□ 店舗併用住宅等の持分の贈与もこの制度の適用が可能です。この場合の居住用不動産の価額の算出は、次の(1)を原則とし、(2)居住用部分から優先的に贈与を受けたものとして配偶者控除を適用して申告することができる特例解釈が認められます
(1)居住用部分の占める割合に贈与を受けた持分の割合を乗じて計算した価額
(2)贈与を受けた持分の割合が居住の用に供している部分(=配偶者および受贈配偶者の持分割合を合計した部分)の割合以下であるときは、その店舗併用住宅等の価額に次の①または②の何れか少ない割合を乗じて計算した価額
①贈与を受けた持分の割合
②居住の用に供している部分の割合

住宅取得等資金の贈与税の非課税(1) -暦年課税-

【1】直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度の概要
□ 平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から、自己の居住の用に供する住宅の新築もしくは取得、または増改築等に充てるための金銭(=住宅取得等資金といいます)を贈与により取得した場合において、一定の要件を満たすときは、下記【3】または【4】の場合に応じた非課税限度額までの部分の贈与につき贈与税が非課税となる制度をいいます。なお、この特例は、贈与税の申告が条件となります
□ 暦年課税の場合は、非課税限度額のほか基礎控除110万円を控除することができます
□ この非課税の特例を適用することで、課税価格が非課税限度額と110万円の合計額に満たない住宅取得等資金の贈与については、贈与税はかかりません(=無税、ただし贈与税の申告は必要です)
<例>平成28年の贈与資金で省エネ等住宅以外の住宅を新築し、暦年課税を選択する場合
・・・810万円(=非課税限度額:700万円+基礎控除額:110万円)までは無税
<受贈者の要件>
□ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること
□ 贈与者の直系卑属であること・・・推定相続人である必要はありません。父母から子へ、または祖父母から孫への贈与が適用対象となります
□ 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること・・・贈与者につき年齢制限はありません
□ 贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であること
□ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた住宅取得等資金の全額を充てて、自己の居住の用に供する家屋の新築もしくは取得または現に居住の用に供している家屋の増改築等をすること
□ 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、または同日以後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること(贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この非課税制度を適用できないため修正申告が必要です)
□ 平成21年分から平成23年分においておよび平成24年分から平成26年分において、『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例(=旧非課税制度)』の適用を受けていないこと・・・受けている場合は、平成27年分から平成31年分の贈与につきこの新非課税制度の適用を受けることはできません
□ 
平成27年分から平成31年分『住宅取得等資金の贈与税の非課税』のあらまし(PDF/国税庁)
□ 
平成24年分・平成25年分・平成26年分『住宅取得等資金の贈与税の非課税』のあらまし(PDF/国税庁)
□ この非課税の特例を相続時精算課税により適用する場合は、非課税の特例適用後の住宅取得等資金について、贈与税の課税価格に算入される住宅取得等資金がある場合に限り可能です。この場合、非課税限度額のほか相続時精算課税の特別控除(2,500万円を限度)を控除することができます(=『
相続時精算課税選択の特例』といいます)

【2】新築もしくは取得または増改築等の要件
□ 住宅取得等資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する一定の家屋を新築もしくは取得、または自己の居住の用に供している家屋の一定の増改築等の対価に充てるための金銭をいいます。また、新築、取得、増改築等をまとめて新築等といいます
□ 新築とは、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋の工事が完了している状態(その工事の完了に準ずる状態=屋根を有し建造物として認められる時以後の状態を含む)をいいます → 実際の引き渡しは翌年3月15日後でも適用可能
□ 取得には一定の中古住宅の取得を含みますが、建売住宅または分譲マンションを取得する場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに実際に引き渡しを受けることが要件となります → 翌年3月15日時点で家屋の工事が完了している状態または完了に準ずる状態だけでは適用不可
□ 一定の家屋の新築もしくは取得、または一定の増改築等には、次の(1)(2)が含まれます
(1)その家屋の新築もしくは取得、または増改築等とともにするその家屋の敷地の用に供される土地や借地権などの取得
(2)住宅用家屋の新築(住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに行われたものに限る)に先行してする、その敷地の用に供される土地や借地権などの取得
□ 受贈者の一定の親族など受贈者と特別の関係がある者との請負契約等により新築もしくは増改築等をする場合、またはこれらの者から取得する場合には、この特例の適用を受けることはできません
<受贈者の一定の親族など特別の関係があるとされる贈与者の範囲>
(1)受贈者の配偶者および直系血族
(2)受贈者の親族((1)以外の者)で受贈者と生計を一にしている者
(3)受贈者と内縁関係にある者、およびその者の親族でその者と生計を一にしている者
(4)(1)から(3)に掲げる者以外の者で、受贈者から受ける金銭等によって生計を維持している者、およびその者の親族でその者と生計を一にしている者

【3】非課税限度額(下記【4】以外の場合)
 下記【4】に該当しない新築等について適用される非課税限度額です。次の区分により、平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間の受贈者1人についての非課税限度額は、最初に非課税の特例を受けようとする住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日に応じて次の金額となります
(1)省エネ等住宅の場合
①契約の締結日が平成27年12月31日まで
 ・・・1,500万円
②契約の締結日が平成28年1月1日から平成29年9月30日まで
 ・・・1,200万円
③契約の締結日が平成29年10月1日から平成30年9月30日まで
 ・・・1,000万円
④契約の締結日が平成30年10月1日から平成31年6月30日まで
 ・・・800万円
(2)省エネ等住宅以外の住宅の場合
①契約の締結日が平成27年12月31日まで
 ・・・1,000万円
②契約の締結日が平成28年1月1日から平成29年9月30日まで
 ・・・700万円
③契約の締結日が平成29年10月1日から平成30年9月30日まで
 ・・・500万円
④契約の締結日が平成30年10月1日から平成31年6月30日まで
 ・・・300万円
□ 前年以前に既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が当年以降の非課税限度額となります
□ 平成28年9月30日までに住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結し、この非課税限度額による適用を受けた金額は、下記【4】の特別非課税限度額の適用にあたり控除する必要はありません

【4】非課税限度額(上記【3】以外の場合)
 住宅用の家屋の新築等にかかる対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合について適用される非課税限度額で、特別非課税限度額ともいいます。上記【3】の非課税限度額とは使い分けが必要です
□ 次の区分により、受贈者1人についての非課税限度額は、最初に非課税の特例を受けようとする住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日に応じて次の金額となります
(1)省エネ等住宅の場合
①契約の締結日が平成28年10月1日から平成29年9月30日まで
 ・・・3,000万円
②契約の締結日が平成29年10月1日から平成30年9月30日まで
 ・・・1,500万円
③契約の締結日が平成30年10月1日から平成31年6月30日まで
 ・・・1,200万円
(2)省エネ等住宅以外の住宅の場合
①契約の締結日が平成28年10月1日から平成29年9月30日まで
 ・・・2,500万円
②契約の締結日が平成29年10月1日から平成30年9月30日まで
 ・・・1,000万円
③契約の締結日が平成30年10月1日から平成31年6月30日まで
 ・・・700万円
□ 前年以前に既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が当年以降の非課税限度額となります
□ 個人間の売買における中古住宅の取得については、原則として消費税がかからないため、非課税限度額は【4】ではなく上記【3】を用いて判定します
□ 平成28年10月1日以後に住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結した場合の非課税限度額については、上記【3】または【4】の(1)(2)の区分のうちいずれか多い金額となります

【5】ケース別の判定例
(1)契約の日の属する年分と贈与の日の属する年分が異なるケース
□ 平成27年11月1日:省エネ等住宅の新築に係る請負契約を締結
□ 平成28年2月15日:2,000万円の贈与を受けた
□ 平成28年2月18日:2,000万円を新築の対価に充てた
<判定>
□ 贈与の課税年分 → 平成28年分
□ 契約に係る非課税限度額 → 上記【3】(1)①の1,500万円
□ 平成28年分の贈与税の課税価格 → 2,000万円-1,500万円=500万円
□ 平成27年は贈与を受けていないため、適用は平成28年分となります

(2)平成28年9月30日までに締結した契約に係る住宅取得等資金について、非課税限度額の適用を受け、平成28年10月1日以降に締結した契約に係る住宅取得等資金について、特別非課税限度額の適用を受けるケース
□ 平成27年4月1日: 1,500万円の贈与Aを受けた
□ 平成27年4月10日:省エネ等の中古住宅の取得に係る契約(個人間取引)aを締結した
□ 平成27年5月15日:1,500万円を省エネ等の中古住宅の取得の対価に充てて、同日居住を開始した
□ 平成29年5月10日: 3,000万円の贈与Bを受けた
□ 平成29年5月15日:省エネ等の住宅用家屋の新築に係る請負契約bを締結した(平成29年8月1日引渡
予定、消費税等の税率10%)
□ 平成29年8月1日:3,000万円を省エネ等の住宅用家屋の新築の対価に充てて、同日居住を開始した
<判定>
□ Aの1,500万円贈与の課税年分 →
平成27年分
□ aの契約に係る非課税限度額 → 上記【3】(1)①の1,500万円
□ 平成27年分の贈与税の課税価格 → 1,500万円-1,500万円=0円
□ Bの3,000万円贈与の課税年分 → 平成29年分
□ bの契約に係る非課税限度額 → 上記【4】(1)①の3,000万円
□ aの契約に係る非課税限度額は、平成28年9月30日までに契約を締結したものについて適用を受けた
ものであることから、特別非課税限度額の計算から控除する必要はありません

□ 平成29年分の贈与税の課税価格 → 3,000万円-3,000万円=0円

(3)非課税の適用に係る最初の当該住宅用の家屋の新築等に係る契約の判定が必要となるケース
□ 平成28年12月1日:省エネ等住宅の取得に係る契約cを締結した(平成29年5月1日引渡予定、消費
税等の税率10%)
□ 平成29年4月15日:2,000万円の贈与Cを受けた
□ 平成29年5月1日:2,000万円を住宅用家屋の取得に対価に充てて、同日居住を開始した
□ 平成30年6月1日:cの家屋の省エネ等の増改築等に係る請負契約dを締結した(平成30年11月1日
工事完了予定、消費税等の税率10%)
□ 平成30年11月1日:1,500万円の贈与Dを受けた
□ 平成30年11月1日:1,500万円を住宅用家屋の増改築等の費用の対価に充てた
<判定>
□ Cの2,000万円贈与の課税年分 → 平成29年分
□ cの契約に係る非課税限度額 → 上記【4】(1)①の3,000万円
□ 平成29年分の贈与税の課税価格 → 2,000万円-2,000万円=0円
□ Dの1,500万円贈与の課税年分 → 平成30年分
□ dの契約に係る非課税限度額 → 3,000万円-2,000万円=1,000万円
□ 上記【4】(1)②であれば非課税限度額は1,500万円のところ、すでに平成29年分について上記
【4】(1)①の非課税限度額3,000万円を適用(=非課税の適用に係る最初の当該住宅用の家屋の新築等に係る契約となる)していることから、平成30年分の非課税限度額は、平成29年分の非課税
適用額を控除した後の残額である1,000万円となります
□ 平成30年分の贈与税の課税価格 → 1,500万円-1,000万円=500万円

(4)平成28年10月1日以後に2以上の契約を締結したケース
□ 平成28年10月10日:省エネ等の中古住宅の取得に係る契約(個人間取引)eを締結した(平成28年
11月10日引渡予定)
□ 平成28年10月30日:4,000万円の贈与Eを受けた
□ 平成28年11月10日:2,000万円を省エネ等の中古住宅の取得の対価に充てて居住を開始した
□ 平成28年12月20日:省エネ等住宅の増改築等に係る請負契約fを締結した(平成29年4月1日 引渡
予定日、消費税等の税率10%)
□ 平成28年12月25日:2,000万円を省エネ等住宅の増改築等費用の対価に充てた
<判定>
□ Eの4,000万円贈与の課税年分 → 平成28年分
□ eの契約に係る非課税限度額 → 上記【3】(1)②の1,200万円
□ fの契約に係る非課税限度額 → 上記【4】(1)①の3,000万円
□ eとfの契約に係る非課税限度額 → 上記【4】(1)①の3,000万円
□ eとfの2つの契約がありますが、1,200万円と3,000万円のいずれか多い金額が非課税限度額となりま

□ 平成28年分の贈与税の課税価格 → 4,000万円-3,000万円=1,000万円

【6】非課税の特例の適用を受けるための手続きと注意点
□ 非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に次の(1)~(4)の書類を添付する必要があります
(1)住宅取得等資金の非課税の計算明細書(第一表の二)
(2)受贈者の戸籍の謄本その他の書類(受贈者の氏名と生年月日、贈与者が受贈者の直系尊属に該当することを確認できる書類)
(3)新築または取得、増改築等の区分に応じ、登記事項証明書や契約書の写しなどそれぞれ一定の書類
(4)省エネ住宅等については、新築住宅、中古住宅、増改築等の別に応じ、建設住宅性能評価書の写しなど一定の書類
□ 
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度のチェックシート
(東京国税局HP/平成27年分用資産税関係チェックシート)
□ この非課税の特例は、『自己の直系尊属』から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に適用を受けられますが、『配偶者の親』は直系尊属には含まれないため、この非課税の特例の適用を受けることはできません
□ 受贈者1人について1,500万円(契約締結日および住宅の性能により金額は異なります)が非課税の限度額であり、贈与者ごとに1,500万円が非課税となるわけではありません。贈与者が複数の場合には贈与を受けた金額を合計し、そのうち1,500万円までを非課税とすることができます。
□ 非課税の特例は居住の用に供する家屋の新築もしくは取得、または増改築等の対価に充てるための『金銭』の贈与を受けた場合に限られているため、次の場合は非課税の対象となりません
(1)居住用不動産そのものの贈与を受けた場合
(2)自己の資金繰りによりすでに取得等した居住用家屋に係る住宅ローンを返済するための金銭の贈与を受けた場合
□ 住宅取得等資金の贈与者の死亡に係る相続税を計算する場合は、この非課税の特例の適用を受けて贈与税の課税価格に算入されなかった金額は、相続税の課税価格に加算する必要はありません

住宅取得等資金の贈与税の非課税(2) -相続時精算課税選択の特例-

【1】相続時精算課税選択の特例制度の概要
□ 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度は、暦年課税だけではなく、相続時精算課税を選択した場合でも適用することができます
□ 平成31年6月30日までの間に、父母または祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた20歳以上の子または孫(贈与を受けた時に日本国内に住所を有し、かつ、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること)が次の【2】の要件を満たすときは、贈与者である親の年齢が60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。これを『相続時精算課税選択の特例』といいます
□ 選択の特例を適用することで、課税価格が非課税限度額と特別控除額の合計額に満たない住宅取得等資金の贈与については、贈与税はかかりません(=無税、ただし贈与税の申告は必要です)
<例>平成28年の贈与資金で省エネ等住宅以外の住宅を新築し、相続時精算課税を初めて選択する場合
・・・3,200万円(=非課税限度額:700万円+特別控除額:2,500万円)までは無税

【2】特例の適用要件
□ 『相続時精算課税選択の特例』の適用要件は、『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例』の要件とほぼ一緒ですが、相違点は以下のとおりとなります
(1)受贈者は、贈与者の直系卑属(子や孫)であること
・・・選択の特例は、推定相続人であることも要件とされます
(2)この特例を受ける年分の受贈者の所得制限
・・・選択の特例は、所得金額2,000万円以下という制限はありません
(3)住宅取得等資金の範囲
・・・特に相違はありません
(4)新築もしくは取得または増改築等の要件と居住要件
・・・特に相違はありません
(5)非課税の特例は家屋の床面積は50㎡以上240㎡以下の制限がある
・・・選択の特例は、床面積が50㎡以上であればOK
(6)申告に必要な添付書類
・・・特に相違はありませんが、相続時精算課税制度の適用を受けるための添付書類は別途必要です
□ 相続時精算課税選択の特例のチェックシート
(東京国税局HP/平成27年分用資産税関係チェックシート)

贈与税の課税関係(みなし贈与財産を含む)

【1】妻にマイホームの贈与またはマイホーム購入資金の贈与を考えている

【2】子供にマイホームの購入資金の贈与を考えている

【3】生命保険金等の取得と保険料の負担者の判定
(1)生命保険金等の取得

・・・生命保険料の負担者が誰であるかに応じてみなし贈与財産として贈与税が課税される場合があり、生命保険契約等に基づく一時金受取人の課税関係は異なります。なお、1つの受取保険金についてその保険料負担者が複数いるときは、それぞれの負担割合に応じた受取保険金の額につきそれぞれ課税関係を判定します。
(2)保険料の負担者の判定
・・・生命保険料の負担者の判定は、次の①と②によります
①原則:保険料の支払能力のない子等が保険の契約者となっているときは、その保険料を実際に支払っている親等が負担者と判定
②例外:親等が子等に現金を贈与し、その子等がその現金を保険料の支払いに充てていることが証明できる(※)ときは、その子等が負担者と判定
※贈与契約書や贈与税の申告書、所得税の生命保険料控除の適用状況など、贈与の事実が認定できるものが必要

【4】10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けたとき:連年贈与
・・・毎年100万円の贈与を10年間受けたとしても、各年が基礎控除額以下であるため、原則、贈与税はかかりません(=申告も必要ありません)。ただし、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが贈与者との間で当初から約束されている場合には、『毎年基礎控除額以下の贈与を受けた』と解釈するのではなく→『10年間にわたり毎年100万円ずつ給付を受ける権利(=定期金に関する権利)の贈与を受けた』ものとして、約束をした1年目に贈与税が課税されます。

【5】親子(または夫婦)で住宅の購入を考えている
・・・住宅を購入するとき、実際の購入資金の負担割合と所有権登記の持分割合が異なっている場合には、贈与税の問題が生ずることがあります
<例>総額3,000万円の住宅を購入し、親が2,000万円、子が1,000万円の資金負担をした事案で、資金の負担割合に応じて親2/3、子1/3の所有権の持分登記がされていれば贈与税の問題は生じません。ただし、仮に所有権の登記持分を親と子それぞれ1/2とした場合は、持分割合からみた資金負担すべき割合は親と子それぞれ1,500万円であるにもかかわらず子は1,000万円しか資金負担をしていないため、差額の500万円については親から子へ贈与があったとされます。
なお、親と子を夫と妻に置き換えたケースでも同様に解釈します。

【6】親から金銭を借りたとき
・・・親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある者相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。
なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や『ある時払いの催促なし』または『出世払い』というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。

【7】離婚して土地建物などを渡したとき:財産分与
・・・夫婦が離婚し財産分与が土地や建物など(=譲渡所得の基因となる財産)でされたときは、分与した者に譲渡所得が課税されます。この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となり、分与を受けた者は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります。
(注)財産分与により相手方から財産をもらった場合は、通常、財産をもらった者に贈与税は課税されませんが、①分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合(=その多過ぎる部分に贈与税が課税)や、②離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合(=この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税が課税)されます

【8】親所有の家屋に子が増築したとき
・・・親名義の建物に子が増築した場合、増築部分は建物の所有者である親の所有物となります。これを不動産の付合(民法242条)といいますが、このとき、子が支払った増築費用を親が支払っていない(=親が子に対して対価を支払わないとき)は、親は子から増築費用相当額の贈与を受けたものとして贈与税が課税されます。ただし、子が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子へ譲渡により移転させて共有とすることで、贈与税は課税されません。
なお、この場合の親から子への建物の持分の移転については、親は譲渡所得の課税対象(=共有とするための譲渡および親子間の譲渡のため居住用財産を譲渡した場合の特例は適用できません)となります。

【9】著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
・・・いわゆる低額譲受であり、みなし贈与財産として贈与税が課税されます。
個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額は、財産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなされます。この場合の著しく低い価額の対価であるかどうかは、個々の具体的事案に基づき判定することになり、法人に対して譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合に、時価で譲渡があったものとみなされる『著しく低い価額の対価』の額の基準となる『資産の時価の1/2に満たない金額』により判定するものではありません。なお、時価とは贈与された財産の種類に応じて、原則として次の(1)と(2)に区分されます
(1)贈与された財産が土地や借地権、家屋や構築物など・・・その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額
(2)贈与された財産が上記(1)の財産以外のもの・・・その財産の相続税評価額
ただし、著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合であっても、譲り受けた者が資力を喪失して債務を弁済することが困難であることから、その弁済に充てるためにその者の扶養義務者から譲り受けたものであるときは、その債務を弁済することが困難である部分の金額については、贈与税は課税されません

【10】債務免除等を受けた場合
・・・みなし贈与財産として贈与税が課税されます。
対価を支払わないでまたは著しく低い対価で、債務の免除、引受けまたは第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合には、その利益を受けた者が、債務免除等が行われた時にその債務免除等に係る債務の金額を、その債務免除等をした者から贈与により取得したものとみなされます。
ただし、債務免除等による利益を受けた場合であっても、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において債務の免除を受けたとき、または債務者の扶養義務者に債務の引受けまたは弁済をしてもらったときは、その債務の弁済をすることが困難である部分の金額については、贈与税は課税されません

【11】負担付贈与に対する課税
・・・受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与を負担付贈与といいますが、負担付贈与があった場合は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に贈与税が課税されることになります。なお、贈与財産の価額とは、贈与された財産の種類に応じて次の(1)と(2)に区分されます
(1)贈与された財産が土地や借地権、家屋や構築物など・・・その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額
(2)贈与された財産が上記(1)の財産以外のもの・・・その財産の相続税評価額

○ 負担付贈与の課税価格 = 贈与財産の価額((1)または(2)) - 負担額

<例>父から時価2,000万円の土地の贈与を受ける代わりに、父の銀行借入金1,200万円を負担することとした事案では、贈与を受けたときにおける通常の取引価額から負担額を控除した価額800万円(=2,000万円-1,200万円)に対して贈与税が課税されます

【12】信託に関する権利
・・・委託者と受益者が異なる場合、受益者を変更した場合、受益者の一部が権利を放棄した場合、信託が終了し残余財産が給付された場合など、信託の設定にあたり適正な対価を負担することなく受益権等を取得した場合には贈与税が課税されます

-譲渡所得のしくみ-




-財産評価のしくみ-




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関東信越税理士会所属

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