税金の還付手続き・税制

税金は納税者の自主申告を基本としているため、万が一過大に納付していたとしても税務署サイドが教えてくれる訳でなく、また勝手に還付される訳でもありません。
法人税・所得税・相続税・消費税など税目に関係なく、税金の納め過ぎに気付いたとき(または税金還付の可能性がある場合)は、納税者サイドから還付請求をする必要があります。

【 税金の還付手続き 】
・・・ 税金の還付は5年前まで遡ることができます
・・・ 法人税の還付
・・・ 個人所得税の還付(通常確定申告をされない方)
・・・ 個人の方は所得税と住民税・事業税・国民健康保険料をセットで考える
・・・ 相続税の還付
・・・ 最高裁の判決等により過去に遡って還付されることとなった項目
・・・ 納め過ぎた税金の還付手続きの流れ
【 税制 】
・・・ 知っておきたい改正項目【法人税】
・・・ 知っておきたい改正項目【個人所得税・住民税】
・・・ 知っておきたい改正項目【消費税】
・・・ 知っておきたい改正項目【相続税・贈与税】
・・・ 知っておきたい改正項目【その他】
・・・ 消費税転嫁対策特別措置法① -減額や買いたたき等の禁止-
・・・ 消費税転嫁対策特別措置法② -消費税分を値引きする広告等の禁止-
・・・ 消費税転嫁対策特別措置法③ -総額表示義務の特例-
・・・ 消費税転嫁対策特別措置法④ -転嫁カルテルと表示カルテル-

-税金の還付手続き-

納め過ぎた税金は請求しなければ戻ってきません!


◆計算間違い、売上の過大計上、費用の計上もれ、所得控除の控除もれ、特例計算の適用忘れ、時間がなくて申告忘れ・・・などにより税金が適正に計算されておらず、結果、納める必要のない税金を納付しているケースが見受けられます。
◆納め過ぎた税金は、納税者の請求があって初めて還付されるものです。認められれば、5年前まで遡って税金を還付してもらうことができますので、もし税金の納め過ぎに気付いたとき(または税金還付の可能性がある場合)は、早速以下の還付手続きをとりましょう。

税務に関するQ&Aをご利用ください!

税金の基礎知識
・・・各税目に関する基礎的な項目の確認ができます(お役立ちコーナーに収録)
TKC税務Q&Aデータベース
・・・TKC税務研究所の編集により数多くの税務事例が収録されています
(ユーザー登録が必要ですが無料でご利用になれます)
質疑応答事例・・・国税庁HP

税金の還付は5年前まで遡ることができます


【1】既に申告した税金を取り戻す方法は2つ

●原則1年以内が還付の対象・・・更正の請求
既に申告書を提出した方が後日税金の納め過ぎに気付いた場合は、税務署長に対し『既に申告した内容に訂正があるので、納め過ぎた税金を還付して下さい』という書類(更正の請求書)を提出することにより税金を還付してもらうことができます。更正の請求は、原則申告書の提出期限から1年以内に提出する必要があります。
●最高5年前まで還付の対象・・・嘆願書
上記で1年以内に更正の請求をしなかった方への救済措置となります。申告書の提出期限から5年以内であれば税金を戻してもらう可能性があるため、税務署長に嘆願書を提出し還付を請求する方法です。
法定化された手続きではないので必ず還付(救済)されるというわけではありませんが、一つの可能性として嘆願書を利用することは有効でしょう。
●税金の還付手続きの改正
改正により、平成23年12月2日以後に法定納期限が到来する国税については、更正の請求期間が1年間から5年間に延長され、『更正の申出書』が書式化されるなど所要の整備がされましたが、税金の還付手続きについては、当面の間、上記の区分での対応が可能です。


【2】確定申告をしていない方は5年前まで申告が可能・・・還付申告

サラリーマンなどで通常確定申告をされない方は、5年前まで遡って(申告する年分の翌年1月1日から5年を経過する日までに)確定申告をすることにより、税金が還付されます。この規定は、まだ確定申告書を提出していない年分が対象ですので、翌年の3月15日までに申告をしていなかったからと言ってあきらめることなく、これから過去の年分の申告をして税金を戻してもらいましょう。


法人税の還付


【1】会計処理がしっかりしていれば税金も適正

法人税の計算の基礎は会計処理です。会計処理がしっかりしていれば税金も適正に計算される筈ですが、逆に会計処理がいい加減でありまたは間違っていれば、必要のない税金を納付することになります。次の項目に当てはまる方またはご自分で申告をしている方は、必要のない税金を納付することのないよう会計処理の見直しを検討されてみては如何でしょうか。
(1)決算申告時期になって1年分の処理をしている
(2)電話やメールのやりとりだけで、税理士と会って経営の話をすることがない
(3)税理士から会計処理に関する質問や問い合わせがない
(4)税理士から利益や税金の計算に関する説明やコメントがない
(5)申告書の附属明細書が少ないまたは手書きである
(6)申告報酬額を含め、対応に納得していない部分がある
(7)減価償却資産が多いまたは資産が古く修繕費等が多い
(8)取引先の数が多い
(9)帳簿が手書きである・・・など


【2】所得税の還付

上記【1】は、会計処理を伴う個人の自営業者の方にも当てはまる内容ですので、検討が必要です。


個人所得税の還付(通常確定申告をされない方)


【1】次の項目に当てはまる方は、所得税の還付の可能性が考えられます

●年末調整では控除できない特別な支出や損失がある場合
□ 病気やケガによる通院、入院、手術の医療費、出産による医療費の支払いがある
□ 医療費控除の対象となる居宅サービス等の対価や施設サービスの対価の支払いがある
□ 住宅をローンで購入した、住宅耐震改修工事をした
□ 震災、風水害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害の被害を受けた
□ 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害の被害を受けた
□ 害虫(シロアリ)などの生物による異常な災害の被害を受けた
□ 盗難や横領の被害を受けた
□ ふるさと納税をした、または寄附金の支出がある
□ 東日本大震災による被害を受けた方、または東日本大震災に関する寄附をされた方
●源泉徴収票では控除しなかったものを追加で控除する場合
□ 年の中途で退職したため、年末調整をしていない
□ 年の中途で退職し、国民健康保険料と国民年金保険料の支払いがある
□ 年の中途で退職し、任意継続保険料の支払いがある
□ 年金から控除されている源泉所得税がある
□ 本人の給与収入の合計が103万円以下である
□ 親の社会保険の扶養から外れている子供の給与収入が103万円以下だった
□ 夫婦共働きだが、扶養控除等を一方だけで控除している
□ 年の中途で結婚、出生などにより扶養親族が増えた
□ 年の中途で扶養親族が死亡した
□ ご主人と死別または離婚された
□ 本年において退職金を受け取った・・・など


【2】還付手続きの時期

●本年中に上記【1】の事実があった方
・・・翌年3月15日までに申告書を提出
●過去5年以内に上記【1】の事実があったが申告していない方
・・・速やかに申告書を提出


【3】自営業者の方

自営業者の方が次の項目に当てはまるときは、本人またはご家族の所得税が還付される可能性がありますので、必ず確定申告をしましょう。
また、過去にこれらの事実があった方は、更正の請求または嘆願書による還付も考えられます。
(1)年の中途で退職し、個人事業を立ち上げた
(2)自営業が赤字または合計所得金額が38万円以下だった
(3)青色申告をしている
(4)本年において個人事業を廃業した・・・など


個人の方は所得税と住民税・事業税・国民健康保険料をセットで考える


◆必要のない税金を払っている

住民税・事業税・国民健康保険料は、所得税の計算と連動している部分があります。『所得税の還付額が数千円だったら面倒なので申告しない・・・』という話を聞きますが、これは住民税などの節税額を計算していない方のコメントであり、実にもったいない話です。必要のない税金を払っていることになります。


◆個人の税金トータルで考える

所得税の還付手続きをとるということは、住民税なども還付される(仮に5年前の所得税が還付されれば同じく5年前の住民税も還付)ということですので、所得税の還付額だけで判断するのではなく、個人の税金トータルで還付手続きを検討しましょう。
(なお、所得税の確定申告書を提出すれば、改めて住民税・事業税・国民健康保険料の申告は必要ありません)


相続税の還付

・・・相続税は、過去にも再計算による多くの還付事例が発生しています。その多くは土地の過大評価が原因ですが、相続税の申告をされた方は、過去の申告書をご用意頂き、申告内容を再検討されてみては如何でしょうか。


【1】相続税が還付される理由

◆土地の評価は、その形状や使用状況により評価方法が異なるため、単価×面積という単純計算では片づけられません。還付事例をみると、やり方次第で評価額を下げることができるにもかかわらず、机上の計算に留まり、過大評価のまま申告をされているケースが見受けられます。これは、相続税を下げる工夫をせず、必要のない相続税を納めているという結果になります。
◆また、土地の評価に限らず、納税者に対するヒヤリングを省略し、書面での判断に偏ったための単純なミスもあります。相続税の申告は法人相手のような継続したお付き合いではない分、手間の掛け方により相続税が多くもなり少なくもなる特徴があります。
◆『相続は一生に何回もないし、相続税は多くて当然』ではありません。納め過ぎた相続税は確実に戻してもらいましょう。


【2】相続税の実際の還付事例でよくある項目(相続税還付の可能性)

(1)申告手続き全般について、質問や問い合わせ、面談が少なかった
(2)評価方法の説明がなかった
(3)土地が不整形地、高低差があるなど特殊な事情がある
(4)土地の現況を見に来ていない
(5)アパートなどの貸し付けをしている
(6)申告書に公図・路線価図・住宅地図等の附属書類の添付が少ない
(7)相続税申告書が手書きである
(8)申告報酬額を含め、対応に納得していない部分がある・・・など


【3】5年10ヶ月前までの相続が対象

相続税申告書の提出期限(被相続人が亡くなられてから10月以内)から、①1年以内であれば更正の請求、②5年以内であれば嘆願書という還付手続きをとることができます。


最高裁の判決等により過去に遡って還付されることとなった項目


【1】所得税が還付される事例

●『相続等により取得した保険年金の二重課税』(平成22年7月6日最高裁判決)については、平成22年10月20日付で改正がされたものの、現行の規定では5年前(平成17年~21年分の所得税)までしか遡ることができませんでしたが、改正により10年前(平成12年~21年分の所得税)まで遡ることができるようになりました。
・・・新設された特別還付金制度の詳細については、国税庁のホームページ【平成12年から平成17年の間に相続等に係る生命保険契約等に基づく年金を受給していた方へ】をご確認下さい。


納め過ぎた税金の還付手続きの流れ


【1】次の方は過去の申告書をご用意下さい

・・・納め過ぎた税金の還付手続きは、申告内容を再検討することから始まります
(1)上記の各税金ごとにピックアップした内容に該当する項目があった方
(2)税金が納め過ぎかどうか知りたい方
(3)現在依頼している税理士には確認しづらいという方
(4)税金の還付手続きをご検討の方


【2】還付手続きの流れ

税金還付の可能性がある場合は、税務署長に対し還付請求をしなければなりません。還付請求には期限があり、更正の請求であれば1年以内、嘆願書であれば5年以内に提出しなければなりません。この期限を過ぎると税金を戻すことはできなくなりますので、速やかに還付請求をする必要があります。


▼過去に提出した申告書をご用意下さい
・・・過去の申告内容をチェックします

▼還付の可能性を確認
・・・当事務所に依頼されるかご判断下さい

▼還付手続きを開始
・・・当事務所にご依頼の場合は、還付請求額の計算や書類の作成作業に移ります
・・・併せて、当事務所の報酬料金および必要に応じ実費をお見積りします

▼還付請求額の確認
・・・還付請求書類を作成しますので、提出前にご確認頂きます

▼還付請求書の提出
・・・提出後は還付されるかを含め、税務署の対応を待ちます

▼還付決定の通知
・・・還付されることが確定した後は、口座への振り込みを待ちます
・・・還付されることが確定した場合は、当事務所の報酬料金を請求させて頂きます

▼還付金の振り込み
・・・口座へ還付金が振り込まれた後、当事務所へ報酬料金をお支払い頂きます


≫過去の税金の還付手続きには期限がありますので、お早めにお問い合わせ下さい


-税制-


【これまでの税制改正】
■ 平成24年3月30日成立
平成24年度税制改正法案のうち租税特別措置法の一部を改正する法律が成立(H24.4.1施行)しました。
■ 平成23年11月30日成立
平成23年度税制改正大綱のうち先送りとなっていた法案が『経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(=構築法といいます)』として、および復興増税を定めた復興財源確保法が、それぞれ平成23年11月30日に成立(H23.12.2施行)しました。
■ 平成23年度税制改正
平成23年度税制改正大綱については、その一部が『現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律(=整備法といいます)』として、平成23年6月22日に成立(H23.6.30施行)しました。
・・・平成23年度税制改正法案に係る法的手当て.pdf

【改正に関するリンクまたはPDF】
財務省の税制ホームページ
中小企業庁ホームページ財務サポート【税制】
小規模企業共済の改正.pdf


知っておきたい改正項目【法人税】


【1】法人税率の引き下げ
これまで:法人税率は30%
⇒改正後:法人税率が25.5%へ引き下げられます。これに伴い法人税の実効税率も35.64%へ5%引き下げられることになります。
この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。

【2】中小法人の軽減税率の引き下げ
これまで:法人税の軽減税率は18%
⇒改正後:軽減税率が15%へ引き下げに加え、実効税率の引き下げによる減税効果が期待できます(この改正は、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます)

【3】定率法償却率の見直し
これまで:定率法の償却率は定額法償却率の2.5倍(いわゆる250%償却)
⇒改正後:定率法の償却率は定額法償却率の2倍(いわゆる200%償却)とされ、改定償却率および保証率についても改正されます。これまでと比べて費用化は緩やかになります。
この改正は、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産につき適用(経過措置あり)されます。

【4】欠損金の繰越控除額の制限
これまで:繰越控除額前の所得金額の全額を控除可能
⇒改正後:繰越控除前の所得金額の80%相当額までしか控除できなくなり、繰越欠損金があっても必ず20%は課税されることになります。ただし、資本金の額が1億円以下などの中小法人等についてはこの改正の適用外で、これまでどおり全額控除可能。
この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。

【5】欠損金の繰越期間の延長
これまで:7年繰越可能
⇒改正後:9年に延長されます。これに伴い、帳簿書類の保存要件や法人税の欠損金に係る更正の期間制限および更正の請求期間も見直されました。
この改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用されます。

【6】中小企業関係税制のまとめ
平成24年度税制改正法案(租税特別措置法等の一部を改正する法律案)が、平成24年3月30日に成立(H24.4.1施行)し、中小企業投資促進税制等が改正されました。
平成24年度税制改正について(中小企業関係税制)


知っておきたい改正項目【個人所得税・住民税】


【1】給与所得控除額の見直し
■ 1,500万円を超える場合は上限を設定
これまで:給与所得控除額は、給与等の収入金額に比例するかたちで計算
⇒改正後:その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える方の給与所得控除額は、一律245万円とされました。1,500万円以下は改正なし。
■ 特定支出控除の拡大
これまで:特定支出のうち給与所得控除額を超える部分を給与所得控除額に加算
⇒改正後:弁護士、税理士等の資格取得費用や、勤務必要経費(職務と関連のある図書購入費、職場で着用する衣服費など=年額65万円を限度)が、特定支出に追加されました。また、特定支出控除額の計算方法も見直され、125万円(※)を超える部分の特定支出額を給与所得控除額に加算することが可能となります。
※給与等の収入金額が1,500万円以下は、給与所得控除額の2分の1相当額
■ 改正の時期
これらの改正は、平成25年分以後の所得税および平成26年度分以後の個人住民税について適用されます。

【2】退職所得課税の見直し
■ 勤続年数5年以下は2分の1課税の対象外
これまで:退職所得控除額を控除した残額の2分の1が課税対象
⇒改正後:特定役員等で勤続年数が5年以下の者については2分の1とする措置が廃止され、退職所得控除額を控除した残額そのものが課税対象とされます。なお特定役員等とは、いわゆる法人の役員のほか国会議員や国家公務員等が該当します。
この改正は、平成25年分以後の所得税および平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当等に係る個人住民税について適用されます。
■ 個人住民税の退職所得に係る10%の税額控除は廃止
⇒改正後:平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当等についてはこの規定は廃止されます。

【3】確定申告手続きの簡素化等
■ 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、年金以外の所得金額が20万円以下の方は、確定申告書の提出が不要になりました。(新設)
■ 確定申告書の提出期間(その年の翌年2月16日から3月15日まで)について、申告義務がある者の還付申告書は、その年の翌年1月1日から提出できるようになりました。
■ 改正の時期
これらの改正は、平成23年分以後の所得税(平成24年3月申告分)について適用されます。

【4】その他
■ 上場株式等の配当所得等および譲渡所得等に係る10%軽減税率(所得税7%、個人住民税3%)は、平成25年12月31まで2年延長されました
■ 電子証明書等特別控除額はその限度額を、平成23年分は4,000円、平成24年分は3,000円としたうえで適用期限が延長されました
■ 通勤手当の非課税制度について、交通用具使用者が交通機関を利用するとした場合に負担することとなる運賃相当額まで非課税限度額を上乗せする特例は廃止されました(平成24年1月1日以後に受けるべき通勤手当について適用)


知っておきたい改正項目【消費税】


【1】免税事業者の要件見直し
■ 法人の場合
これまで:基準期間(2期前)の課税売上高が1,000万円以下=その期は免税
⇒改正後:その期の前期(7月以下のものを除く)開始の日から6月間の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、基準期間(2期前)の課税売上高が1,000万円以下であっても、その期は課税事業者となります。
この改正は、平成25年1月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
(注)『事業年度』と表現するところを、単に『期』と表現しております
■ 個人事業者の場合
これまで:基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下=その年は免税
⇒改正後:その年の前年1月1日~6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えた場合は、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であっても、その年は課税事業者となります。
この改正は、平成25年分(平成26年3月申告納付分)から適用されます。
■ 共通事項
上記改正案の適用にあたっては、課税売上高の金額に代えて、所得税法に規定する給与等の支払額の金額を用いることができる等の措置が講じられますが、消費税課税が1期(年)前倒しになる可能性がでてきます。

【2】仕入税額控除の95%ルールの制限
■ 法人・個人事業者共通
これまで:課税売上割合が95%以上=課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除⇒改正後:課税売上高が5億円以下の課税期間に限り全額控除可能とされました。5億円を超える課税期間については別途計算が必要となります。
■ 改正の時期
この改正は、法人については平成24年4月1日以後に開始する課税期間から、個人事業者については平成25年分(平成26年3月申告納付分)から適用されます。

【3】消費税の改正まとめPDF
(1)消費税法改正のお知らせ
(2)事業者免税点の判定について


◆>消費税転嫁対策特別措置法が成立◆>
平成25年10月1日にスタートした消費税転嫁対策特別措置法は、次の4項目により構成されています。平成25年10月1日から施行し、平成29年3月31日限りでその効力を失う法律として成立しました。
消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置
・・・減額や買いたたき、報復行為等を禁止します
消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置
・・・消費税分を値引きする等の宣伝や広告を禁止します
価格の表示に関する特別措置
・・・平成29年3月31日までは総額表示義務の特例があります
消費税の転嫁および表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置
・・・転嫁カルテルと表示カルテルが認められます

<参考となるパンフレット等>
消費税率引上げ対策早わかりハンドブッック/日本商工会議所HP
中小企業・小規模事業者のための消費税の手引き/中小企業庁HP
総額表示義務の特例措置に関する事例集(税抜価格のみを表示する場合などの具体的事例)/国税庁HP
○ 各種問い合わせは、消費税価格転嫁等総合相談センターが利用できます


知っておきたい改正項目【相続税・贈与税】

知っておきたい改正項目【その他】


【1】復興臨時増税
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(=復興財源確保法)が平成23年12月2日に公布され、次の復興増税が創設されました。
■ 復興特別法人税=10%上乗せを3年間
(1)納税義務者・・・法人税の納税義務者のうち、課税標準法人税額がある法人
(2)課税事業年度・・・平成24年4月1から平成27年3月31日までの期間(=指定期間)内に最初に開始する事業年度開始の日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度
(3)課税標準法人税額・・・所得税額控除や外国税額控除等の適用前の法人税額
(4)税額(率)・・・課税標準法人税額×10%(課税標準法人税額がなければ納付不要)
(5)指定期間内に設立した法人や、事業年度を変更した法人については課税の特例がありますが、何れにしても課税される期間は36ヶ月(相当)に調整されます
(6)申告と納付の方法・・・復興特別法人税申告書を、通常の法人税の申告と同様2ヶ月以内に提出し納税が必要となります。ただし、課税標準法人税額がなければ申告は不要です。
■ 復興特別所得税=2.1%上乗せを25年間
(1)納税義務者・・・所得税の納税義務者のうち、基準所得税額がある者
(2)課税年・・・平成25年(1月1日)から平成49年(12月31日)までの25年間
(3)源泉徴収義務者は、利子、配当、給与または報酬料金等の支払いの際に、復興特別所得税を含めた所得税額を徴収する必要がありますので、源泉徴収事務に影響します。また、源泉徴収税額表も変更されます。
(4)基準所得税額・・・全ての所得に対して計算された各年の所得税額
(5)税額(率)・・・基準所得税額×2.1%(基準所得税額がなければ納付不要)
(6)申告と納付の方法・・・給与所得者は年末調整で、その他は確定申告でそれぞれ精算・申告納付します
■ 個人住民税均等割の増税=1,000円上乗せを10年間
(1)納税義務者・・・個人住民税均等割の納税義務者
(2)課税年度・・・平成26年6月から10年間(平成26年度から平成35年度)
(3)税額・・・年間一律1,000円アップ(年4,000円⇒5,000円へ)

【2】更正の請求期間が5年に延長
これまで:法定申告期限から1年以内に請求が必要
⇒改正後:法定申告期限から5年以内であれば請求が可能になります。これまでは『嘆願請求』という法定外の方法をとることで、実質5年前まで請求が可能とされていましたが、改正により、嘆願請求によらなくても5年前まで遡って納め過ぎた税金を還付してもらうことができるようになります。
この改正は、平成23年12月2日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。

【3】源泉徴収税額の納期の特例の承認を受けている場合の納期限の変更
これまで:7月から12月分の源泉徴収税額は、一定の要件を満たす場合に限り翌年1月20日が納期限
⇒改正後:納期限の特例の届出制度を廃止し、7月から12月分の源泉徴収税額の納期限は、すべて翌年1月20日となります。
この改正は、平成24年7月1日以後に支払うべき給与等および退職手当等について適用されます。


消費税転嫁対策特別措置法① -減額や買いたたき等の禁止-


【1】消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置の概要
消費税の転嫁拒否等の行為を取締り、当該行為を是正または防止するために必要な措置がされました。
いわゆる『減額』や『買いたたき』などを禁止するもので、平成26年4月1日以降に供給する商品または役務について、平成25年10月1日以降に行われる転嫁拒否等の行為が規制の対象となります。特定事業者(転嫁拒否等をする側=買い手)と、特定供給事業者(転嫁拒否等をされる側=売り手)との取引において、買い手である特定事業者による『減額』や『買いたたき』などの転嫁拒否等の行為を禁止するものです。

【2】事業者間取引の組合せ
この措置により、次の2つの組合せパターンでの事業者間取引については、転嫁拒否等の行為が禁止されます。
ポイントは(大手事業者から中小企業等への取引に限らず)中小企業間の取引も取締りの対象となることです。
≪組合せパターンその1≫
【特定事業者:転嫁拒否等をする側(買い手)】
・・・大規模小売事業者
【特定供給事業者:転嫁拒否等をされる側(売り手)】
・・・大規模小売事業者に継続して商品または役務を供給する事業者
≪組合せパターンその2≫
【特定事業者:転嫁拒否等をする側(買い手)】
・・・特定供給事業者から継続して商品または役務の供給を受ける法人事業者
【特定供給事業者:転嫁拒否等をされる側(売り手)】
・・・資本金等の額が3億円以下の事業者、個人事業者等
なお、特定事業者となる大規模小売事業者(公正取引委員会規則で定めるもの)とは、一般消費者により日常使用される商品の小売業を行う者で、次の①または②のいずれかに該当するものをいいます
①前事業年度における売上高が100億円以上である者
②次のいずれかの店舗を有する者
・東京都特別区および政令指定都市において、店舗面積が3,000㎡以上
・その他の市町村において、店舗面積が1,500㎡以上
※コンビニエンスストア本部等のフランチャイズチェーンの形態をとる事業者を含むため、上記①の売上高については加盟する者の売上高を含めたところで判定します

【3】禁止される転嫁拒否等の行為
特定事業者は、特定供給事業者に対して次の行為を行ってはなりません
(1)減額
(2)買いたたき
(3)商品購入、役務利用または利益提供の要請
(4)本体価格での交渉の拒否
(5)報復行為

(1)減額
商品または役務の対価の額を、合理的な理由がなく事後的に減額することにより、消費税の転嫁を拒否する行為が禁止されます
<禁止される減額行為の具体例>
○ 対価から消費税率引上げ分の全部または一部を減じること
○ 既に支払った消費税率引上げ分の全部または一部を次に支払うべき対価から減じること
○ 本体価格に消費税額分を上乗せした額を商品の対価とする旨契約していたにもかかわらず、対価を支払う際に、消費税率引上げ分の全部または一部を対価から減じること
○ リベートを増額するまたは新たに提供するよう要請し、当該リベートとして消費税率引上げ分の全部または一部を対価から減じること
○ 消費税率引上げ分を上乗せした結果、計算上生じる端数を対価から一方的に切り捨てて支払うこと
<減額行為とならない『合理的な理由』がある場合>
○ 商品に瑕疵がある場合や納期に遅れた場合など、特定供給事業者の責めに帰すべき理由により、相当と認められる金額の範囲内で対価の額を減じる場合
○ 一定期間内に一定数量を超えた発注を達成した場合には、特定供給事業者が特定事業者に対して、発注増加分によるコスト削減効果を反映したリベートを支払う旨の取決めが従来から存在し、当該取決めに基づいて取り決められた対価の額から事後的にリベート分の額を減じる場合
(2)買いたたき
商品または役務の対価の額を、合理的な理由がなく通常支払われる対価に比べて低く定めることにより、消費税の転嫁を拒否する行為が禁止されます
<禁止される買いたたき行為の具体例>
○ 対価を一律に一定比率で引き下げて、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること
○ 原材料費の低減等の状況の変化がない中で、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること
○ 安売りセールを実施することを理由に、大量発注などによる特定供給事業者のコスト削減効果などの合理的理由がないにもかかわらず、取引先に対して値引きを要求し、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること
○ 免税事業者である取引先に対し、免税事業者であることを理由に消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること
○ 消費税率が2段階で引き上げられることから、2回目の引上げ時に消費税率引上げ分の全てを受け入れることとし、1回目の引上げ時においては、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること
○ 商品の量目を減らし対価を消費税率引上げ前のまま据え置いて定めたが、その対価の額が量目を減らしたことによるコスト削減効果を反映した額よりも低いこと
<買いたたきとはならない『合理的な理由』がある場合>
○ 原材料価格等が客観的にみて下落しており、当事者間の自由な価格交渉の結果、当該原材料価格等の下落を対価に反映させる場合
○ 特定事業者からの大量発注、特定事業者と特定供給事業者による商品の共同配送や原材料の共同購入などにより、特定供給事業者にも客観的にコスト削減効果が生じており、当事者間の自由な価格交渉の結果、当該コスト削減効果を対価に反映させる場合
○ 消費税転嫁対策特別措置法の施行日前から、既に当事者間の自由な価格交渉の結果、原材料の市価を客観的に反映させる方式で対価を定めている場合
※『自由な価格交渉の結果』とは、当事者の実質的な意思が合致していることであって、特定供給事業者との十分な協議の上に、当該特定供給事業者が納得して合意している状況をいいます
(3)商品購入、役務利用または利益提供の要請
消費税の転嫁に応じることと引き換えに、商品を購入させまたは役務を利用させる行為、および金銭または役務等の経済上の利益を提供させる行為が禁止されます。
この場合は、特定事業者が供給する商品または役務だけでなく、第三者の供給する商品または役務を指定する場合を含みます。また、商品を購入させる場合等だけでなく、事実上の購入を余儀なくさせていると認められる場合も含みます。
<禁止される商品購入、役務利用または利益提供の要請行為の具体例>
禁止される商品購入等要請行為は、『消費税率引上げ分の全部または一部を上乗せすることを受け入れる代わりにする』以下の行為、および『自社の指定する商品を購入しなければ、消費税率引上げに伴う対価の引上げに当たって不利な取扱いをする旨を示唆する行為』が該当します
○ 取引先にディナーショーのチケットの購入、自社の宿泊施設の利用等を要請すること
○ 本体価格の引下げに応じなかった取引先に対し、毎年定期的に一定金額分を購入してきた商品の購入金額を増やすよう要請すること
○ 消費税の転嫁の程度に応じて、取引先ごとに目標金額を定め、協賛金を要請すること
○ 通常必要となる費用を負担することなく、取引先に対し、従業員等の派遣または増員を要請すること
○ 消費税率の引上げに伴う価格改定や外税方式への価格表示の変更等に係る値札付け替え等のために、取引先に対し、従業員等の派遣を要請すること
○ 取引先に対し、取引の受発注に係るシステム変更に要する費用の全部または一部の負担を要請すること
○ 金型等の設計図面や特許権等の知的財産権、その他経済上の利益を無償または通常支払われる対価と比べて著しく低い対価で提供要請すること
(4)本体価格での交渉の拒否
商品または役務の供給の対価に係る交渉において、消費税を含まない価格(=税抜価格)を用いる旨の特定供給事業者からの申出を拒む行為が禁止されます。
特定事業者が明示的に拒む場合が該当するほか、特定供給事業者が本体価格で価格交渉を行うことを困難にさせる行為も該当します。
<禁止される本体価格での交渉の拒否行為の具体例>
○ 特定供給事業者が本体価格と消費税額を別々に記載した見積書等を提出したため、本体価格に消費税額を加えた総額のみを記載した見積書等を再度提出させる場合
○ 特定事業者が、本体価格に消費税額を加えた総額しか記載できない見積書等の様式を定め、その様式の使用を余儀なくさせる場合
(5)報復行為
特定供給事業者が公正取引委員会等に転嫁拒否等の行為に該当する事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをする行為が禁止されます

【4】転嫁拒否等の行為に対する検査、指導等
特定事業者(買い手)の転嫁拒否等の行為に対しては、これを是正するため、各機関(公正取引委員会、主務大臣、中小企業庁長官、建設業等を営む者の一部に関しては都道府県知事)による次の(1)~(4)の検査、指導等の措置が実施されます
(1)報告・検査
・・・特定事業者等に対して報告徴収、立入検査を行います
(2)指導・助言
・・・特定事業者に対して、違反行為を防止または是正するために必要な指導、助言を行います
(3)措置請求
・・・違反行為があると認めるときは、公正取引委員会に対して、適当な措置(勧告、公表)をとることを求めることができます。ただし、①違反行為が多数に対して行われている場合、②違反行為による不利益の程度が大きい場合、③違反行為を繰り返し行う蓋然性が高い場合、④その他消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害する重大な事実がある場合(=報復行為はこれに該当)には措置請求を行います
(4)勧告・公表
・・・違反行為があると認めるときは、特定事業者に対して、速やかに消費税の適正な転嫁に応じることその他必要な措置をとるよう勧告し、その旨を公表します
(5)転嫁対策調査官
・・・上記(1)~(4)のほか、消費税の転嫁拒否等の被害について聞き取り調査を行う転嫁対策調査官を配置して、監視と検査体制の強化に取り組んでいます
<公正取引委員会等が行う指導内容の具体例>
○ 転嫁を拒否した消費税額分を支払うこと
○ 遡及的に消費税率引上げ分を対価に反映させること
○ 転嫁と引き換えに購入させた商品を引き取り、商品の代金を返還すること
○ 役務の利用料または提供を受けた利益を返還すること
○ 消費税を含まない価格で価格交渉を行うことなど


消費税転嫁対策特別措置法② -消費税分を値引きする広告等の禁止-


【1】消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置の概要
消費者の誤認を招き、他の事業者による円滑な転嫁を阻害する宣伝・広告等を是正または防止するための措置がされました。
消費税は『消費者が負担』し『事業者が納付する』間接税であるところ、あたかも消費者が消費税を負担していない、またはその負担が軽減されているかのような誤認を消費者に与えないようにするとともに、事業者間取引における買いたたきや本体価格への適正な転嫁を阻害することにつながらないようにするため、事業者が消費税分を値引きする等の宣伝や広告を禁止します。平成26年4月1日以降に供給する商品または役務について、平成25年10月1日以降に行われる転嫁を阻害する表示が規制の対象となります。

【2】対象となる事業者と表示の定義
(1)対象事業者

適用対象となる事業者は景品表示法における事業者と同様であり、消費税の課税事業者に限りません
(2)表示の定義
表示とは、景品表示法における表示と同様、事業者が商品または役務の供給の際に顧客を誘引するために利用するあらゆる表示(商品や容器、包装、チラシ、電話、ネオンサイン、インターネット広告など)が対象となります。一般的には小売事業者による消費者向けの表示が考えられますが、それに限らず事業者間取引における事業者向けのカタログやパンフレットの記載などであっても対象となります。また、表示にはチラシやカタログなどの文面だけでなく、テレビやラジオCM、セールストークなどの口頭による説明も含まれることになります。

【3】禁止される表示に関する基本的な考え方
『消費税分』を値引きする等の宣伝や広告を禁止するものであり、『消費税』といった文言を含まない表現については、宣伝や広告の表示全体から消費税を意味することが客観的に明らかな場合を除き、禁止される表示には該当しません。
ポイントは『税』という言葉があるかないかです。
○ これまでずっとやってきた表示方法であっても、今後は明らかに禁止となる場合が考えられますので、注意が必要です
○ 消費税といった文言を含む表現であっても、消費税分を値引きする等の宣伝や広告でなければ禁止されることはありません
○ 消費税という文言を含まない表現であっても、『増税』または『税(税金)』などの文言を用いて実質的に消費税分を値引きする等の趣旨の宣伝や広告を行うことは、通常禁止されます

【4】禁止される表示の具体例
(1)取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示

○ 『消費税は転嫁しません』
○ 『消費税は一部の商品にしか転嫁していません』
○ 『消費税は転嫁していないので、価格が安くなっています』
○ 『消費税はいただきません』
○ 『消費税は当店が負担しています』
○ 『消費税はおまけします』
○ 『消費税はサービス』
○ 『消費税還元』、『消費税還元セール』
○ 『当店は消費税増税分を据え置いています』など
(2)取引の相手方が負担すべき消費税を対価の額から減ずる旨の表示であって消費税との関連を明示しているもの
○ 『消費税率上昇分値引きします』
○ 『消費税8%分還元セール』
○ 『増税分は勉強させていただきます』
○ 『消費税率の引上げ分をレジにて値引きします』など
(3)消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって、(2)に掲げる表示に準ずるものとして内閣府令で定めるもの
○ 『消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します』
○ 『消費税相当分の商品券を提供します』
○ 『消費税相当分のお好きな商品1つを提供します』
○ 『消費税増税分を後でキャッシュバックします』など
(4)禁止とはならない表示
○ 消費税との関連がはっきりしない『春の生活応援セール』や『新生活応援セール』
○ たまたま消費税率の引上げ幅と一致するだけの『3%値下げ』『3%還元』『3%ポイント還元』
○ たまたま消費税率と一致するだけの『10%値下げ』『8%還元セール』『8%ポイント進呈』など

【5】転嫁を阻害する表示に対する監視と取締り
事業者が行った転嫁を阻害する表示に対しては、これを是正するため、各機関(消費者庁長官、公正取引委員会、主務大臣、中小企業庁長官)による次の(1)または(2)の指導や助言、勧告のほか、場合によっては公表という措置がされます。公表となれば、企業のイメージや信用の低下は避けられないため注意が必要でしょう。
(1)指導・助言
・・・事業者に対して、違反行為を防止または是正するために必要な指導、助言を行います
(2)勧告・公表
・・・違反行為があると認めるときは、事業者に対して、速やかにその行為を取りやめることその他必要な措置をとるように勧告し、その旨を公表します


消費税転嫁対策特別措置法③ -総額表示義務の特例-


【1】価格の表示に関する特別措置の概要
消費税の総額表示義務について、現に表示する価格がその時点における税込価格であると誤認されないための措置(=誤認防止措置)を講じている場合に限り、税込価格を表示することを要しない措置(=総額表示義務の特例措置)がされています。
原則はこれまでの『総額表示(=税込表示)』としつつ、平成25年10月1日から平成29年3月31日までは、税抜価格が明瞭に表示されているときに限り、『税抜価格を強調(大きくする、濃くする、色を変えるなど)して表示』しても不当な表示には当たらないという取扱いです。
ポイントは、『税込表示』または『税込価格と誤認しないような税抜価格による表示』であれば問題ありません。

【2】総額表示義務の特例措置=税抜価格の強調表示が認められるための要件
(1)現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置(=誤認防止措置)を講じていること
(2)上記(1)により税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに、税込価格を表示するよう努めること(遅くとも平成29年3月31日までには総額表示へ戻す必要があります)
(3)事業者は、税込価格を表示する場合において、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、税込価格に併せて、税抜価格または消費税の額を表示すること
※上記(3)の場合において、税込価格が明瞭に表示されているときは、その税抜価格の表示については、景品表示法第4条第1項(不当表示)の規定は適用しない(=総額表示義務の特例に係る景品表示法の適用除外)とされます

【3】誤認防止措置についての基本的な考え方
総額表示義務の特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置としての表示は、消費者が商品等を選択する際に、明瞭に認識できる方法で行う必要があります。また、値札の貼り替え等を行う移行期間等において、店内等の一部の商品等について税抜価格のみの表示や旧税率に基づく税込価格等の表示を行わざるを得ない場合には、店内等のどの商品等の価格が税抜価格のみの表示や旧税率に基づく税込価格等の表示になっているのかを明らかにする必要があります。
<誤認防止措置とは認められない表示の具体例>
○ 誤認防止のための表示が、店内のレジ周辺だけで行われている
○ 誤認防止のための表示が、商品カタログの申込用紙だけに記載されている
○ 誤認防止のための表示が、インターネットのWebページにおける決済画面だけに記載されている
<誤認防止措置に該当する表示の具体例>
(1) 税抜価格のみを表示する場合

○ 個々の値札やチラシ、看板、ポスター、商品カタログ、インターネットのウェブページ等において税抜価格であることを明示する方法
<例>333円(税抜価格)、333円(税別)、333円(本体価格)、333円+税、333円+消費税
○ 店内における掲示やチラシ等における表示により、一括して税抜価格であることを明示する方法
<例>個々の値札等または個別の商品価格の部分には、『333円』と税抜価格のみを表示し、別途、消費者が商品等を選択する際に目につきやすい場所に、『当店(本チラシ)の価格は全て税抜表示となっています』などと明瞭に表示する
(2)新税率の適用後においても一時的に旧税率に基づく税込価格の表示が残る場合の表示方法
<例>個々の値札等においては、『333円』と旧税率に基づく税込価格を表示し、別途、消費者が商品等を選択する際に目につきやすい場所に、『旧税率(5%)に基づく税込価格を表示している商品については、レジにてあらためて新税率(8%)に基づき精算させて頂きます』などと明瞭に表示する。この場合は、どの商品等の価格が旧税率の表示となっているかを明らかにする必要があります。
(3)新税率の適用前から新税率に基づく税込価格の表示を行う場合の表示方法
<例>個々の値札等においては、『333円』と新税率に基づく税込価格を表示し、別途、消費者が商品等を選択する際に目につきやすい場所に、『既に新税率(8%)に基づく税込価格を表示している商品については、3月31日まではレジにて5%の税率により精算させて頂きます』などと明瞭に表示する。この場合は、どの商品等の価格が新税率の表示となっているかを明らかにする必要があります。
(4)税込価格が明瞭に表示されているかどうかの判定
税込価格と税抜価格を併記する場合において、景品表示法で禁止される表示に該当するのは、表示されている税抜価格を税込価格であると一般消費者が誤認する場合であって、表示媒体における表示全体からみて税込価格が一般消費者にとって見やすく、かつ、税抜価格が税込価格であると一般消費者に誤認されることがないよう表示されていれば、税込価格が明瞭に表示されているといえます。基本的には、次の3つの各要素を総合的に勘案して判断することになります。
①税込価格表示の文字の大きさ
②文字間余白や行間余白
③背景の色との対照性

※総額表示義務の特例措置についての具体例は、国税庁PDF:総額表示義務の特例措置に関する事例集(税抜価格のみを表示する場合などの具体的事例)を参考にして下さい。


消費税転嫁対策特別措置法④ -転嫁カルテルと表示カルテル-


【1】消費税の転嫁および表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置の概要
事業者または事業者団体が行う転嫁カルテルおよび表示カルテルについて、平成元年の消費税導入時と同様の独占禁止法の適用除外制度が設けられました。
平成26年4月1日以降に供給する商品または役務を対象にした転嫁カルテル・表示カルテルは独占禁止法の適用除外となります

【2】届出義務
共同行為を行うに当たっては、公正取引委員会規則(届出の様式等を規定)で定めるところにより、事前に公正取引委員会に共同行為の内容等を届け出る必要があります。なお、この届出は平成25年10月1日以降に提出可能となっています。


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関東信越税理士会所属

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